snake
--- Word DNA ---------------------------------------
ETYMOLOGY
Old English snaca “limbless creeping creature.” The word snake is used today in a more exact sense “limbless hose-like scaly reptile”; & has various extended & figurative senses: “something like a snake; figure. picture, etc. of the snake; ingratitude person, lurking dangerous person or thing, betrayer, drudge, poor person, etc.”
1688 “dicing game using the board on which the snake is depicted.” Obsolete. (Probably, the origin of snakes and ladders.)
1839 interjection used when exciting, surprised, etc. .
1972 “narrow range of fluctuation in currency exchange rates that the European Economic Community considers fair.”
PIE ROOT
*sneg- “to creep; creeping creature”
*snog-on- (O-grade form) “snake”
English descendants:
snake
snail
sneak
naga
GERMANIC COGNATES
snake
Middle Low German snake
Danish snog
Swedish snok
Old Norse snákr
Norwegian snake
Icelandic snake / snákur
Middle English verb snaker “to sneak.”
German Schnecke “snail”
snail
Old High German snegil
German dialect schnägel
Old Norse snigill
Icelandic snigill
Swedish snigel
Danish snegl
sneak
Old English snícan
Old Nose sníkja
Norwegian snikja
Danish snige
INDO-IRANIAN COGNATE
naga [Sanskrit नाग nāgá “serpent, snake.”]
DECIPHERMENT IN JAPANESE
「へび、くちなわ、おろち、うわばみ、蛇 (ジャ、ダ)、巳」: 基本義は「はうもの」だが、生物学的には厳密に、脚がないホース状の有鱗の爬虫類 (用例: The anaconda is the world's largest snake and the most deadly... Medusa has snakes for hair... I’ve seen bass eat some crazy things like birds and snakes... rattle-snake… fillet of a fenny snake... )。想像上の怪物としての「蛇、龍」(Ride the snake to the ancient lake... )。蛇は脱皮する度に若返るなどの迷信から、「蛇を食べる」と言えば、「若返るものを食べる、老化を防ぐものを食べる、精が出るものを食べる、元気になれるものを食べる」などの意味であった (To eat snakes became a proverb, denoting a man’s feeding on what renewed his vigour... ) 。
「蛇に似ているもの、蛇状のもの、蛇 (の)」: 脚のない蜥蜴、両生類、そのほか蛇に似ている他の生物 (snake-fish… snake-bird... snake-stone (=アンモナイト)... )。「蛇、または、龍に似ている」船 (snake boat... )。中世のガレー戦闘船は蛇、または、龍に似ていることから、十九世紀の文人は「蛇」と命名した (twelve snakes or war galleys... )。「長いだけでつらまらない / くだらない、眉唾な、あくびが出る」もの、話 (snake story… snake yarn... )。補足する言葉を伴って部分的に似ていることを示す (snake-eyed... snake-hip... )。「蛇の頭」と称して、花が蛇の頭に似ている植物 (snake-head... )。「ホース、鞭、かつらからぶらさがっているひも状のもの、からみついたワイヤー、消火用ホース」などは snake と表現されることがある。また、複数の人が縦に並び、前の人の肩に手をのせてつながり、「蛇のように形作って全体でくねくねと進みながら行う」こと (snake dance... )。米国には蛇に似ているので「蛇川」と名付けられた川がある。その川から生活の糧を得ていた先住民族のショーショーニー族は「蛇、蛇族」と命名された (Snake = Shoshone)。
「蛇 (の)」: 危険なものを蛇と呼ぶのは中国語も同じで、密入国手配業者は蛇頭と呼ばれ、 英訳されている (snakeheads or migrant smugglers... )。
「蛇のいる、蛇が飼われている、蛇 (の)」: (Snake Island - the highest concentration of snakes in the world... snake-pit [「蛇の穴」→「精神病院」]...)。
「蛇の (行為)、蛇に (されたこと)」 (snake-bite... snake-bit [→蛇に噛まれることは運の悪いことなので「不運な」の意味になる]...)
「蛇が分泌する、蛇の」(snake-poison [→「蛇の毒のように強烈なアルコール飲料、ウィスキー」]... )。
「蛇から取った、蛇の」(snake-skin... )。比喩的に「蛇汁」と称して「ウィスキー、強烈なアルコール飲料」 (got some snake juice... )。「蛇脂」と称して、軽蔑的に何の病気にも効かない「万能薬、がまの油」を指し、更に「眉唾なもの、まがいもの」を指すようになる (snake-oil salesman... )。
「蛇を治す、蛇の」: (snake doctor [→蛇の医者 = とんぼ]... )。
「蛇の毒消しになる」(snake-root... snake-wood... snake pill... )。
「生きているガラガラヘビを手にもって行う、ガラガラヘビを手にもっているようにして行う」こと (Hopi snake dance... )。
「蛇を象った / 描いた / 彫った、蛇 (の)」: (a gold snake ring... )。
「蛇を」(何かする) 人 / こと (snake charmer... snake eater... snake-eating... snake worshipper... snake-handling... )。米国やオーストラリアでは「線路」を蛇にたとえて線路で作業すする人を「蛇使い」と称したことがある (snake charmers or railwaymen... )。
「蛇を扱う (ための)、蛇 (用) の、蛇対策用の」: (snake staff... snake boots 「毒蛇に噛まれることを防ぐ為に米国で発明された踵の高いブーツ」... )。
「やつ、野郎」: 蛇の性格は実質的に不明であるが、人間が作り上げたイメージでは、狡猾・危険・冷酷で、恩知らずであり、執念深い。そういった人物を「蛇」という (He’s a cold-hearted snake... )。また、地面を這いつくばっているせいもあり、「見下げ果てた奴、情けない奴」の意味もある (He is a poor snake... )。イソップの寓話から「蛇を懐であたためてやる」といえば「恩知らずに尽くす」の意味になる (to warm a snake in one’s bosom... )。ウェルギリウスの詩句「草むらの蛇」は「潜んでいる危険人物」を指す (a snake in the grass... )。米俗語「蛇を起こす = やかましく騒ぐ (騒いでやっかいなものを起こす)、やっかいなことになる、ずらかる」(I didn't want to wake snakes. Horace was almost three years older than me and could hit like a mule could kick. I was no fool... )。一九四〇年代のオーストラリア軍内のスラングでは「軍曹」を「蛇」と言っていたが、「やっかいな奴」に具体的語義が与えられた例といえる。豪俗語「蛇の頭の」は「怒り心頭の、復讐したがっている」精神状態(He’s got snake-headed about it... )。精神を錯乱させるものとして「蛇」は引き合いに出され、米国の俗語では、「(複数の) 蛇を見る」や「ブーツの中に蛇を飼う」などと表現して「譫妄症である、アル中である」などの意味であった (The man who drinks much, sees snakes... He informed us yesterday that the snakes in his boots were growing larger everyday.. )。豪俗語で「蛇腹より下」といえば、「最低の、どん底の」の意味である (As I climbed into bed, I felt lower than a snake's belly... )。
「蛇を崇拝する、蛇 (の)」: (snake shaman... snake cultists... )。
「蛇のような動きをするもの、蛇」: (snake dance... snake firework... )。「為替の狭い許容変動幅」を表現するのに snake が用いられたことがある (The snake is the narrow EEC band... )。この用法は更に「トンネル内の蛇制度」などと称して「為替の許容変動範囲制」なる成語をつくった (snake-in-the-tunnel system... )。チャート上を山グラフ (折れ線グラフ) がくねくねと進む様子からだろう。
「いいぞ! あらっ! おっ! きゃーっ!」: 感嘆詞 (Snake alive! We will just win!... )。
「蛇のように (するする / ずるずる / くねくね / うねうね / にょろにょろ / そろりそろり / こそこそ / じぐざぐに / 素早く) 動く (動かす)、進む (進ませる)、伸び (てい) る (伸ばす)、絡ませる、続く、追う、引く / 巻く、巻き付く、くねる」: 動詞 (The narrow and dangerously winding road snaked up one hill and down another... He snaked his arm around her waist... The river snakes across the plain into the bay... We snaked in pursuit of the rebel troops... The current route has marchers snaking their way from the Space Needle at Seattle Center south to Qwest Field, home of the Seattle Seahawks and Seattle Sounders... )。
DERIVATIVES & COMPOUNDS
snake + -ing = snaking
「長い、長蛇の、長くてくねくねしている」(The crowd grew into a snaking line... )。
snake + -y = snaky
「蛇の(ような)、蛇の髪の、蛇の髪を有する、蛇がうじゃうじゃの、くねっている、まきついている、ねじれている、曲がった (心の)」(The man began to crawl along in a snaky way... The Gorgons were monstrous females with huge teeth like those of swine, brazen claws, and snaky hair... On the sweet bard the snaky Furies gaze... )。豪州で snaky はときに「むかついている、いらついている、怒り心頭の」の意味になる。
snaky + -ly = snakily
「蛇のように、蛇らしく、こっそり、ずるく、ずるがしこく、裏切って、邪心をもって」(Eels coiled snakily... The dancers circle snakily... The necklace slipped snakily over his hand… He said snakily: “My loving wife hasn't been giving me any attention lately.”... )。
snaky + -ness = snakiness
「蛇が持つようなもの、ずるさ、卑怯 (さ)」(his cunning and snakiness... )。
snake + -less = snakeless
「蛇がいない」(廃用) (Ireland and New Zealand are snakeless islands... )
snake + -let = snakelet
「小さい蛇」(廃用)
snake + -ling = snakeling
「子蛇、蛇の子」(廃用)
snake + -like = snake-like
「蛇のような」 (snake-like train... his snake-like passion... its snake-like flexibility... )。
snake’s + man = snakesman
「蛇の人 = 蛇のように狭いところもするする通り抜けられる人 (こども)」(廃用) ("What is a snakesman?" “A young boy trained to enter a home through the smallest possible opening. He unlocks the door for the thief... )。
snake + -wise = snakewise
「蛇のやり方で、蛇のように、蛇行して」(廃用) (We go snakewise... )。
外来語 (PIE *sneg- から)
スネーク
スニーカー [19th c, US, sneak + -er; from sneak. The oldest sense of sneaker, found in a 1598 document, is a “lurking knave.” ]
ナーガ (インドの蛇神、龍神)
* = reconstructed form = 再建形
DECIPHERMENT IN JAPANESEには今は使用されない用法も含まれている。
------------------------------------ 言葉の遺伝子 ---
snake は印欧祖語の *sneg- 「這う、這うもの」からできた。英語では snail と同系。
印欧祖語の類義語 *serp- も「這う (to crawl or creep)」ことを指し、ラテン語 serpens が生じ、英語の serpent につながっている。ラテン語動詞 serpere は「這う」ことで、梵語やギリシャ語に血縁語は見つかる。 serpent は普通、大蛇のことである。
蛇の言い伝えや迷信は古今東西、無数にある。
蛇は草むらの中で音も立てずひっそりとしているので、見つけた人はびっくりする。しかもいざというときは非常に素早く動くことができる。蛇が人を怖れさせるのは、蛇には毒を持つ種類がいて、咬まれると死ぬこともあるためである。そこで、蛇には隠れてこそこそしている危険なものといったイメージが作り出された。蛇の這う音など聞いたことはないが、人が気づかないうちに家屋や物置小屋の中にまぎれれこむこともあったのだろう。音を立てないから、卑怯だとか狡いといったイメージが次々に作り出されたに違いない。
蛇の脱皮は若返りを象徴する。シュメール起源の『ギルガメッシュ叙事詩
(The Epic of Gilgamesh)』では、親友エンキドゥ
(Enkidu) の死を悲しむあまり、自分は不老不死になろうと、ギルガメッシュは幾多の困難を乗り越え不老不死の薬草を手に入れるが、水浴びしている間にその大事な草を蛇に盗まれてしまう。蛇は抜け殻をのこして姿を消す。この伝説から、蛇は脱皮する度に若返るという迷信ができた
(か、あるいは逆に、その迷信から伝説が作り上げられた
)。「人間から不死の能力を奪う蛇」のモチーフは創世記第三章にも見受けられる。また、ギリシャ神話の死者をも蘇らせる名医アスクレピオス
(Asclepius) は若返りや蘇生の薬草を見つけられるが、それは蛇が有する能力であると考えられている。従って、蛇は再生・治癒・医術のシンボルでもある。
民間療法では、蛇の抜け殻はリューマチの薬であった。また、蛇の毒は薬になり、蛇酒や蛇の肉は滋養強壮の効果があるとされている。ただし「蛇脂 (snake oil)」なるものは「眉唾な薬」の意味である。
中国にも蛇は脱皮するたびに若返るとする言い伝えがある。
イソップの『蛇と農夫 (The Snake and the Farmer)』の寓話によると、ある寒い日に、凍えて動けなくなっていた蛇を農夫が見つけ、かわいそうだと思って懐に入れて温めてやると、生気を取り戻した蛇が農夫を噛んで殺してしまう。この話には「親切は恩知らずには通じない」の教訓が付したある。この話から、蛇は恩を仇で返すろくでなしとされている。
アイスランド、アイルランド、ニュージーランドには蛇がいない。
古代ローマ人、古代ギリシャ人、古代インド人はしばしば龍と蛇を同じものとみなしたが、漢字文化圏では辰 (竜、龍) と巳 (= 蛇) は通例、区別されている。キリスト教圏では、蛇はしばしば悪魔と同一視され、知恵の象徴となることもある。中国の龍は川に棲んでいて天候を司るが、蛇、乃至、龍が虹、稲妻、川、水辺と関連付けられて、天候を司るとする思想は世界中で見受けられる。龍や蛇がお宝の守り神であることも珍しくない。チベット仏教の輪廻図にある蛇は憤怒を象徴している。また、疫病や飢餓が発生すると、仏陀はナーガとなって民を救うという信仰がある。英語にも借入されている naga は梵語で「蛇」を指すが、日本ではしばしば「龍神」と訳す。ヒンズー教のナーガは多頭の蛇で、王と女王がおり、水辺にあって天候を司り、お宝を守っている。日本では青大将は家の守り神であったが、おそらく鼠を退治してくれたからだろう。また、蛇を祀る神社もある。
日本語のへびは日本列島の毒蛇である蝮を指すへみ、はみ、はび、はんびなどから出来た。沖縄では毒蛇をはぶというから、へびとはぶは血縁語であろう。また、蝮はくそへび、くちはめなどと呼ばれていた。くそはいやなものを忌み嫌って付けたものだが、見た目も関係するのかもしれない。くちはめのくちはくちる (朽ちる) と同系とされている。くそもくちも腐っていることを連想させる。あるいは、蝮の口は危険きわまりないから、その連想もあるかもしれない。へびは時代が進むと、蝮以外の蛇も指すようになった。
snake と血縁語の sneak は「こそこそしている、こっそり出て行く、こっそりまぎれこむ、忍び込む」などの意味があり、名詞 sneak はもともと「こそこそしている人」の意味で、 sneak thief と言えば、「こそ泥」の意味である。やわらかいゴムでできた履物は、音を立てずに歩けるので、十九世紀の米国では、 sneak と名付けられ、やがて、 sneakerと呼ぶようになった。しかし、 sneak の語感を嫌う人たちは tennis shoes や training shoes といった呼び方を好んで使う。英国では trainer の方が sneaker よりも一般的な呼び方だという。 sneaker は日本にやって来ると、カタカナのスニーカーになった。
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蝮
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眉唾
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夜這