ここは blind bard と名乗る一人の言葉好きが綴っているブログです。あらゆる時代のすべての民族の言語に興味があり、可能なかぎり深く知りたいと思っています。英単語の語源をまとめたり使用例を集めて、その語義 (senses) や振る舞い方 (behavior) を探り、「英単語を主人公にした叙事詩を書く」 ことを念頭に『英語語源物語』なるものを企ててから、だいぶ月日が流れました。もっともこのタイトルで長年メールマガジンなるものを発行してきましたが、スタイルはまちまちで、納得できるものに仕上がってはいません。
なぜ数ある言葉の中で英語の語源が中心なのかといいますと、第一に最もよく研究されていてその成果を拝借でき、そして、第二に使用者が全世界に分布している人類史上もっともポピュラーな言語だからです。日本語の語源学は、漢語や外来語の由来を調べたり、故事成語や慣用句の出典や成り立ちを論じたりするのが中心で、日本語 (大和言葉) 自体のルーツを探求することはあまり進んでおらず、定説もまだできていません。英語をはじめとする印欧諸語の研究は、グリムの法則に代表されるような精緻な音韻論を成立させ、音素の基本的語義まで探ろうとする極めてロマンチックなものなのです。印欧諸語は、大航海時代までには既にインドからポルトガルまでを支配していましたが、その後、新世界や太平洋の島々、オーストラリアやニュージーランド、アフリカ諸国へと進出していきました。印欧諸語を話す Indo-European はもっとも活動的で、もっとも好戦的で、もっとも生産的で、もっとも破壊的で、もっとも思慮深く、芸術とスポーツを楽しむ余裕を古くから勝ち取り、共和制や共産主義を創造して実践した諸民族です。もっとも迷信的であると同時に、もっとも科学的でもあるので、比較言語学も盛んに行われてきましたし、いまもマクロファミリーを探る研究が進んでいます。おそらくほかの民族 (群) に比べて、もっとも自由な思想を持つ者もいる一方で、もっとも差別的な気質の者がいるとさえ考えられます。そういった人々の話してきた (そして、いま現在話している) 言葉は、筆者にとって魅惑的なもので、興味をそそられるものなのです。(ほかの民族にもおもしろい点はあります。世界は多様だから良いのでしょう。)
このブログを続けるにあたっては、学術的に正確で、なおかつ、歴史の渦の中に埋もれつつあるトリビアをちりばめ、エンターテイメント性を織り込んだスタイルの読み物にしたいと思っています。
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