Saturday, December 28, 2013

鶏卵素麺

鶏卵素麺は卵黄を煮立てた砂糖に細長く垂らして作る南蛮菓子。福岡の銘菓であったという。生まれはポルトガルで、おそらくまずマカオに伝わり、中国、タイ、カンボジア、日本に伝搬したものだろう。ただ、タイには日本から伝わったとする説もある。ポルトガルがタイに接触したのはアユタヤ朝時代の十六世紀、日本に到達したのは室町末期。ポルトガル語では fios de ovos 「卵の糸」と呼び、タイ語ではフォイトーン (ฝอยทอง)「金の糸」と呼ぶ。日本語は翻案借入されたもの。タイでは材料に家鴨の卵を使うものもあり、ジャスミンなどで香をつけたりする。金色でおめでたいので結婚式の披露宴で提供される。また、タイやポルトガルではケーキのデコレーションにも用いる。スペイン語では Huevo hilado (字面) たまごいと」と呼ぶ。ポルトガル人とスペイン人はブラジルやメキシコにもこのお菓子を伝えている。

 江戸時代初期に編集された『料理物語』(寛永二十年 = 1643) 第十八章に「玉子そうめん」の作り方が載っている。

ab ovo usque ad mala. (ロマンス諸語の「卵」つながり)
food and drink words (飲食物に関する言葉)
ポルトガル語から出来た言葉

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