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Thursday, November 13, 2014

がんも

がんもは雁擬きの略称。豆腐を崩して刻んだ野菜と合わせて油で揚げたものであり、雁の肉の味や食感に似せて作られたものなので、雁擬きという。

 万葉の昔、日本には稲刈りの頃に渡ってくる雁 (かり = がん) を狩って食べる風習があったが、お寺のお坊さんは精進料理しか食べなかったので、旬の料理である雁の肉を口にすることはなかった。そこで信心深い人々も食べられるようにと、誰かが一計を案じ、雁の肉とよく似たがんもどきを発明した。

 万葉集には雁肉旨しといったような歌は載っていないけれども、雁、または、その鳴き声である「かりがね」という言葉はしばしば秋の歌に詠み込まれている。雁は一説に、かりー、と鳴くので雁と呼ぶようになったのだという。

 飛龍頭 / 飛竜子 (漢字表記はさまざま) は「ひりょうず、ひりゅうず、ひりうず」などと読み、関西弁で「がんもどき」を指す。おそらく、飛龍頭は丸く作っていた人々が充てた字で、飛竜子 は細長く作っていた人々が充てた字であろう。一説に語源はポルトガル語の filhós とされる。 filhó (単数形) は小麦粉と卵を練って油で揚げたパンケーキのことである。歴史のどこかで、揚げ菓子と精進の揚げ物であるがんもどきが混同され、いっしょくたになったのだろう。

 フィーリョスは、英語では、 fried cake / pancake という (例: filhós de natal = Christmas fried cake )。



Friday, February 14, 2014

ウンスンカルタ

ウンスンカルタは。ボルトガル人が日本にもたらしたカルタを基にして、元禄時代 (1688年~1704年) に考案された遊び札である。天正カルタよりスートは一種類多くて五種類あり、ランクは三つ多くて十五あるから、都合一組七十五枚で構成されている。十五のランクのうち一から九までは数札であり、そのほかの六枚は絵札である。ウンスンのウンはポルトガル語の um 「一 (one, a)」から、スンの正確な語源は不明だが、ラテン語 summa (女性形) 「積み上がったもの、高くなっていること、最高、合計」、あるいは、summus (男性形) 「最高」と関係があるかもしれない。これらのラテン語は英語の sum や summit の語源である。十七世紀のポルトガル語の語彙に sum があったかどうか不明である。

江戸幕府は賭博を禁止したので、ウンスンカルタ遊びはすぐに姿を消したが、現在の熊本県人吉市 (江戸時代は人吉藩) にはウンスンカルタ遊びが遺っている。

慣用句のうんともすんともは、ウンスンカルタに由来する慣用句だという。



Wednesday, February 12, 2014

メリヤス

メリヤスはポルトガル語 meias 「靴下、ストッキング (socks, stockings)」 / スペイン語 medias 「靴下、タイツ、ホース (tights. hose)」からという。素材ではなく、伸縮性に富んだ編み方を指し、発祥地はエジプトで、中世に西欧に伝播し、十六世紀に日本に伝わった。平らに編むものもあるが、筒状に編んだものは靴下、スットキング、タイツ、股引などに仕上げる。英語には語源が異なる stockinette なる単語がある。英国では十六世紀末にウィリアム・リー (William Lee, 1563-1610) がメリヤス織り機を発明した。

漢字では莫大小、目利安、女利安などと書く。莫大小の字義は「大も小もない」ということで、メリヤスが伸縮自在でどの体型の人にもフィットすることを表している。

Saturday, December 28, 2013

鶏卵素麺

鶏卵素麺は卵黄を煮立てた砂糖に細長く垂らして作る南蛮菓子。福岡の銘菓であったという。生まれはポルトガルで、おそらくまずマカオに伝わり、中国、タイ、カンボジア、日本に伝搬したものだろう。ただ、タイには日本から伝わったとする説もある。ポルトガルがタイに接触したのはアユタヤ朝時代の十六世紀、日本に到達したのは室町末期。ポルトガル語では fios de ovos 「卵の糸」と呼び、タイ語ではフォイトーン (ฝอยทอง)「金の糸」と呼ぶ。日本語は翻案借入されたもの。タイでは材料に家鴨の卵を使うものもあり、ジャスミンなどで香をつけたりする。金色でおめでたいので結婚式の披露宴で提供される。また、タイやポルトガルではケーキのデコレーションにも用いる。スペイン語では Huevo hilado 「(字面) たまごいと」と呼ぶ。ポルトガル人とスペイン人はブラジルやメキシコにもこのお菓子を伝えている。

 江戸時代初期に編集された『料理物語』(寛永二十年 = 1643年) 第十八章に「玉子そうめん」の作り方が載っている。

→ab ovo usque ad mala. (ロマンス諸語の「卵」つながり)
→food and drink words (飲食物に関する言葉)
→ポルトガル語から出来た言葉

Tuesday, December 17, 2013

かぼちゃ

かぼちゃの語源は国名のカンボジア。カンボジアはボルトガル語で Camboja であり、それが日本語になった。この野菜が日本に伝来した時、日本人のほとんどはカンボジアのことを知らなかったので、南瓜の漢字を充てたのだろう。実は秋、花は夏の季語。別名は唐茄子。かぼちゃは唐から来たものでもないし、茄子でもないが、現代の落語家は古典を語る際、かぼちゃを唐茄子と表現する。江戸時代には唐茄子が庶民の通用語だったのかもしれない。

 南瓜は英語で squash という。米国では pumpkin と呼ばれる外皮がオレンジ色の種類を squash とは区別する。日本に入ってきた外来語としてはパンプキンの方が圧倒的に優勢なので、「英語で南瓜は pumpkin」が日本に定着した。

 パンプキンはハロウィーンのジャック・O・ランタンを作る材料である。

 ポルトガル語には abóbora という言葉があり、 pumpkin と squash の両方を意味する。

 squash は瓜や瓢箪 (gourd) の仲間で、ズッキーニを指すこともある。

 ネイティブ・アメリカンのヒダーツァ族 (Hidatsa) はバッファローの肩甲骨で南瓜包丁  (squash knife) なるものを作っていた。

瓜・瓢箪に関する言葉
→ゴーヤ
→瓢箪から駒
→河豚 (ふくべ = ひょうたん)


Friday, December 13, 2013

ぴんきり

ぴんきり (ピンキリ) は「一番上から一番下までいろいろあること」を指す。 ぴんは賽子かトランプのような博打の札の「一」の目である。これはポルトガル語から来た。ポルトガル語の pinta は英語の point と同系で、「点」を指す。きりは cruz で、英語では cross のことであり、おそらく、日本の漢字の「十」の札のことであろう。ぴんきりとは語源からすると、「一から十までのこと」である。

→Aleam fuge (骰子にまつわるラテン語のことわざ)
→snake eyes (米語「ピンぞろの丁」)
→snakes and ladders (骰子を使うボードゲーム)
→思うつぼ (骰子賭博からできた言葉)
→でたらめ (骰子にまつわる言葉)

Tuesday, September 03, 2013

はやぶさ

はやぶさのはやははやい (速い) のはや、ぶさは「つばさ」のことで、飛ぶ速さから命名されたという。はやぶさの急降下はどんな鳥よりも速い。

 英語の falcon は、一般に、ラテン語の falx 「かぎ爪」からできたと信じられている。ロマンス諸語はラテン語の影響下にある。
イタリア語: falcone
フランス語: falcon
スペイン語: halcón
ポルトガル語: falcão
 従って、日本語では獲物を捕らえる時のスピードに着目した命名なのに対して、英語やロマンス諸語では、獲物を捕らえるときの鋭いかぎ爪に着目した命名であるといえる。

 エジプトでは、ホルスの頭がはやぶさである。

 はやぶさは捕捉能力にすぐれた猛禽で訓練も可能なことから、鷹狩りに用いられてきた。また、そのスマートさに憧れる技術者は多いらしく、第二次大戦中の陸軍の主力戦闘機の愛称は隼であったし、一九五八年 (昭和三十三年) に東京と鹿児島を結ぶ寝台特急にはやぶさの名が用いられたこともある。二〇一一年 (平成二十三年)から、はやぶさは東北新幹線の名前になっている。また、二〇〇三年 (平成十五年) 五月九日に打ち上げられた宇宙探査機もはやぶさと名付けられていた。

 はるか彼方の遠い銀河の太古にもファルコンと呼ばれる鳥がどこかの惑星に棲息していたらしく、ハン・ソロ (Han Solo) の宇宙船の名はミレニアム・ファルコン (Millennium Falcon) と呼ばれている (映画『スターウォーズ』IV / V / VI 参照)。


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Tuesday, January 29, 2013

カルタ

カルタは、漢字では歌留多、骨牌などと書くが、ポルトガル語の carta 「トランプ、カルタ (playing card)」が語源。 carta はほかに「手紙、運転免許書、海図 (letter; driver’s license; chart)」などを意味する。要するに、文字・数字・図柄などが示されている長方形の紙 (または、紙状のもの) である。カードは英語 (card) から借入された外来語で、語形の類似から察せられるように、カルタと同源であり、ラテン語の charta / carta 「パピルス (の葉)、紙 (papyrus leaf; paper)」からできている。一二一五年にジョン王がしぶしぶ制定した王の権限に制限を設けたマグナ・カルタ (Magna Carta) はラテン語で、字義どおりには、「大きな紙 (or パピルス)」のことであり、歌留多とは血のつながりのある言葉である。ラテン語の carta /  charta は、更に起源が古く、ギリシャ語の χαρτης (khartes) から借入された言葉である。古代ギリシャ人はこの言葉をエジプトのコプト語から借入したらしいのだが、明確にはわかっていない。

 室町末期から安土桃山時代にかけて日本に上陸すると、カルタは様々な遊び札を指すようになった。西洋伝来のものは天正カルタ (天正は1573年から1592年まで)、百人一首を用いた歌貝をアレンジしたものは歌かるた、ことわざを用いたものはいろはかるたというようになった。江戸時代に考案された花札は花かるたといったが、賭博に使われることが多く、いうなれば、天正カルタをアレンジした “日本版トランプ” と呼べるものであった。江戸幕府は賭博を禁じていたので、胴元たちは一計を案じ、札から数値を消し去って、一年の各月を象徴する草花を描いた風流な遊び札を作り上げたのだった。
→しかと (花札からできた言葉)
→トランプ

Monday, November 26, 2012

如雨露とジャー

じょうろはボルトガル語の jarro 「水差し、瓶、甕、容器、缶、ジョッキ、カラフェ」から借用された言葉だという。 jarro には「じょうろ」の意味はないが、取手と注ぎ口はある。水を入れおく容器と注ぎ口の間の細長い首がないだけである。女性形 jarra は「瓶、甕、フラスコ」のこと。

 ポルトガルの隣の同じイベリア半島の国スペインにも jarro / jarra はあり、更にフランス語にも jarre がある。これらの単語はすべてアラビア語の jarrah 「壷、甕、焼物、土器」を語源にしている。フランス語 jarre は英語に借用され、jar ができた。jar は円筒状で広口の食べ物や飲み物を入れておく容器を指す。日本語の炊飯ジャーのジャーの語源であり、まとめると、じょうろとジャーはもともとはアラビア語からきた言葉である。

 ポルトガル語でじょうろは regador といい、英語では watering can という。ちなみに英語で水差しは jug または pitcher という。 jug は日本語のジョッキの語源である。

じょうろ
[Portuguese jarro “jar, jug, pitcher, can, carafe,” from Arabic جرة (jarrah).]

ジャー
[English jar, via French, from Arabic جرة .]

ジョッキ
{English jug.]

Sunday, November 11, 2012

ポルトガル語から出来た日本語

ポルトガル語から出来た日本語一覧 (日葡合作語を含む)

→ウンスンカルタ
→カステラ
→合羽
→かぼちゃ
→カルタ
→鶏卵素麺 [Free translation from Portuguese fios de ovos "yarns of eggs"「卵の糸」]
→金平糖
→如雨露
→飛龍頭 (がんも)
→ぴんきり
→メリヤス

合羽

合羽はポルトガル語 capa から来たという。ポルトガル語では「覆うもの」であり、具体的に身につけるものとしては「キャップ、頭巾、帽子 (cap, hood)」、「ケープ、マント、羽織、上着(cape, mantle、robe, jacket)」、「ヴェール (veil)」などのことを指す。語形から察せられるように、英語の cap や cape と同源。源のラテン語 cappa は「頭巾、帽子、頭を覆うもの」の意味である。語根 cap- (仏語の訛は chap- / chef) は「頭」で、キャプテン (captain) やシェフ (chef) などの多くの単語に使われている。

金平糖

金平糖はポルトガル語の confeito から。このお菓子の作り方は十六世紀中葉に、カステラや有平糖といっしょに長崎に伝えられたという。confeito は英語の comfit や confection と同様にラテン語由来の単語で、原義的には「用意されたもの、整えられたもの」である。 comfit はナッツなどに糖蜜の衣を着せたお菓子で、要するに金平糖のこと。 英語の confection はデコレーションがほどこされた「甘いお菓子類、スウィーツ (sweets)」の意味である。

 ポルトガル語 confeito は比喩的には「キス」の意味にもなる。

Wednesday, November 07, 2012

カステラ

カステラは、一般的には、「カスティーリャのパン」を指すボルトガル語 pão de Castela  が語源とされている。室町末期にポルトガル人が長崎に伝えたというが、長崎では製法に独自のアレンジを加えている。

 カスティーリャ (スペイン語: Castilla) はスペインの一地方で中世には王国もあった。この地名はおそろくラテン語の「城、城塞 (castle, fort)」を指す castellum の複数形 castella に由来するものだろう。このようなことに思いを馳せていると、卵と小麦粉を焼いて作ったカステラは西洋の石の城壁に見えてくる。

→飲食に関する言葉
→伊達巻
→ポルトガル語から出来た日本語

Wednesday, July 06, 2011

Aleam fuge

Aleam fuge
--- Latin idiom


word-for-word translation
Die (ie gamble), flee.

English translation
Flee the gambling game.

逐語的邦訳
サイコロを離れる。
(博打を辞める。)

ラテン語の慣用句。

aleam は「賽子」を指す alea の対格形。拡大義は「博打、賭博」

fuge の不定形は fugere、一人称単数現在形は fugio であり、「逃げる、離れる」こと。この動詞は 、「逃亡者、亡命者」を指す英単語 fugitive の源である。

→About "life is a Joke"
→Latin Index
→snakes and ladders (骰子を使うボードゲーム)
→snake eyes (term about dice)
→思うつぼ
→でたらめ (骰子にまつわる言葉)

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Wednesday, June 29, 2011

Llamar al pan pan

llamar al pan pan y al vino vino

word-for-word translation
to call bread bread and wine wine.

English saying
to call a spade a spade.

逐語的邦訳
呼ぶ、パンをパンと、そして、ワインをワインと。
(ずばり言う)

スペイン語の慣用句で、「歯に衣着せず言う、ずけずけと物を言う」こと。スペインではパンとワインを引き合いに出すが、英国人は鋤 (剣とも解せるが) を引き合いに出す。また、動詞を省いて al pan pan y al vino vino で「ずけずけと、あからさまに」の意味になる。こういった「AをAという」式の慣用句は古代ギリシャに既にあったという。
日本語のパンはポルトガル語の pão からできた。これはもちろん、日本にパンをもたらしたのがポルトガル人であることを意味している。pão はラテン語の panis からできた単語で、ロマンス諸語はこのラテン語に由来している。

ポルトガル語 pão
スペイン語 pan
フランス語 pain
イタリア語 pane
ルーマニア語 pâine

印欧祖語は *pa- 「まもる、食べ物を与える (to protect or feed)」であり、子孫の英単語は沢山あるが、ラテン語 panis 家出身でフランス語経由で英単語になったのは pastry と company である。

西和辞典
Spanish-English
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