がんもは雁擬きの略称。豆腐を崩して刻んだ野菜と合わせて油で揚げたものであり、雁の肉の味や食感に似せて作られたものなので、雁擬きという。
万葉の昔、日本には稲刈りの頃に渡ってくる雁 (かり = がん) を狩って食べる風習があったが、お寺のお坊さんは精進料理しか食べなかったので、旬の料理である雁の肉を口にすることはなかった。そこで信心深い人々も食べられるようにと、誰かが一計を案じ、雁の肉とよく似たがんもどきを発明した。
万葉集には雁肉旨しといったような歌は載っていないけれども、雁、または、その鳴き声である「かりがね」という言葉はしばしば秋の歌に詠み込まれている。雁は一説に、かりー、と鳴くので雁と呼ぶようになったのだという。
飛龍頭 / 飛竜子 (漢字表記はさまざま) は「ひりょうず、ひりゅうず、ひりうず」などと読み、関西弁で「がんもどき」を指す。おそらく、飛龍頭は丸く作っていた人々が充てた字で、飛竜子 は細長く作っていた人々が充てた字であろう。一説に語源はポルトガル語の filhós とされる。 filhó (単数形) は小麦粉と卵を練って油で揚げたパンケーキのことである。歴史のどこかで、揚げ菓子と精進の揚げ物であるがんもどきが混同され、いっしょくたになったのだろう。
フィーリョスは、英語では、 fried cake / pancake という (例: filhós de natal = Christmas fried cake )。
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