さくさくは、例えば、軽やかに包丁で刻む音、あるいは、歯で噛み砕く音。重みや荒っぽさが加わると、ざくざくになる。かつては水を鍋などに注ぎ入れるときの音もさくさくであった。水だから、軽やかにすんなりと入る。
匙はシャーベットなどをさくっと (or さっくり) 掬う。掬われたものはひと塊。刺身も包丁で四角に切り分けたものはさくという。このさくは完成品の盛り合わせや寿司ねたになる一歩手前の状態だが、さくの状態はいわゆるひと塊の状態である。
畑を耕す際、鍬が土に食い込むとさくっと音がする。だから、畝はさくというのだろう。耕すときは繰り返し鍬を振り下ろすから、「さくさく耕す」ということになる。鍬で土をさく (裂く) 感じもする。さくさくした後はフォーマット済みだから、使える状態になる。
繰り返しになるが、さくさくはさくの繰り返しの音。「水がさくさく入る」や「畑をさくさく耕す」から、さくさくは軽快に何かが進行することを感じさせる。そうなると、「仕事がさくさく片付く」のような用法も成り立つ。
今まで一般的なパソコンはハードディスクドライブを搭載していたから、パソコンが動いているときはカリカリと音がした。しかし、「パソコンがカリカリ動く」ではまるで怒っているような印象を受ける。止まらない (フリーズしない) 様子を表すなら、さくっとよりはさくさくの方が良い。そこでパソコンが順調に働き続けるさまは「さくさく動く」になったと考えられる。
ところで、じゃがいもなどは大きな袋に入れれば、ひと塊になる。ズタ袋は英語で sack という (a sack of potatoes…)。 sack には「裂く」という語感 (sense) はないが、こまごましたものはひとつの袋に入れると、扱いやすくなる。刺身のさくは完成品の盛り合わせより持ち運びしやすい。市場で完成品にしてしまうと、寿司屋や居酒屋やスーパーまで運ぶ途中でぐちゃぐちゃになってしまうおそれがあるが、さくの状態 (ある程度の塊) で運べば、その心配がない。
→ざっくり
→リュックサック (sackについて言及)