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Saturday, February 01, 2014

偶数は不吉な数字

字に込められた思いは民族によって異なる。アラブ人は偶数を縁起が悪いと考える傾向がある。その典型例が「千夜一夜」という言い方に現れている。夜が沢山あるということを示すとき、英米人なら a thousand nights とでもいって片付けるのに、アラブ人はわざわざ「千の夜と一夜」のごとくいう。実際、ストーリーは千一夜続くが、西洋人なら百や千といったきっちり割り切れる数字を好むのに、アラブ人は奇数にこだわる。

イタリアの『デカメロン』は、アラブの『千夜一夜の書』と同様に枠構造を有している。上位のストーリー設定は、疫病の流行を逃れて集まった十人がそれぞれ一日に一話ずつ十日 (デカメロン) の間、物語を語るというものである。つまり、百一などという中途半端な数字ではなく、百というきっぱしの数字にたどりつく。

アラブ圏域でも西アフリカあたりでは「千夜一夜」の短縮版ともいうべき「百物語」はあったらしいから、ボカッチョはその影響を受けたのかもしれない。

同じ枠構造でも、バグダッド方面のアラブと西洋の違いは明確で、『デカメロン』では、「話の中で語られる百話」なのに対して、「話の中で語られるシェヘラザードの話の中で語られる話の中で語られる話」というようなことがときどき起こる。シェヘラザードの話の中に出て来る登場人物が別の登場人物の話を聞いたりするシーンはざらにある。しかもいちいち途中で夜が明けるから、中途半端なところで話が途切れる。イタリアでは話が途中で途切れて、つづきはまた明日というようなことがない。日によってテーマが定められている。ひとくちでいえば、いくら推敲・編集を重ねようとも、アラブ人は整然と整えようとする気がなく、自然の気まぐれそのままに気まぐれな進行を好んで用いている。もちろん、夜明けと同時に話が完結しない方が、狂王シャハリヤールの好奇心を刺激して、シェヘラザードの命が助かる確率は上がるとの最上位のストーリーの進行上の都合はあるのだろうけれども、人工化の乏しい、アラブの砂漠の砂が描く曲線のような、自然まかせの不安定さを感じる。アラブの砂漠の地平線に対して、西洋人は整えておかないと気がすまない性分である。モスクは丸みを帯びているのに、教会は十字形で、角張っているのとも関係があるかもしれない。

アラビア語のカリグラフィーは他の文字を有する民族の筆記法とは異なる。その極端な草書体は、楷書化を拒む性質が現れているように感じる。何か整然とした画一性に対する反抗心がアラブ人にはあるのかもしれない。千 (1,000) というきっちりとした数字よりも、千一 (1,001) という割り切れない、どこか不安定な奇数の方が、アラブ人には心地よいものなのだろう。

Wednesday, November 06, 2013

四生

四生は仏教の生き物の分類法。仏教では生き物は生まれ方によって四つに分類する。

 卵生 (らんしょう) は卵から生まれること。
 胎生 (たいしょう) は母体から生まれること。
 湿生 (しっしょう) は湿気から生まれること。
 化生 (けしょう) はカルマによって生まれること。

 湿生化生は現代の科学からすると外れているが、古代人にとっては、黴や蛆やぼうふらなどはまさに湿気から生じるものに見えたのだろう。化生に分類されるのは、今の姿のまま別界に出現することで、魑魅魍魎の類を指すこともある。

 仏教は、生きとし生けるものは解脱するまで六道四生の輪廻転生を続けると説く。
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仏教書

Wednesday, September 25, 2013

Annuit Cœptis

Annuit Cœptis
--- Great Seal Slogan of the United States of America

word-for-word translation
(He = God) approves of undertakings (= the founding of the United States)

general translation
God approves of the undertakings.

逐語的邦訳
承認されている、事業は
(事業は承認されている。)

 ラテン語の文句。アメリカの国璽の裏面に刻まれている標語の一つ。 annuit annuere 「賛成する、承認する」の三人称単数現在形・現在完了形。 cœptis (単数主格は cœptum) 「事業、企画、立ち上げ、引き受け、着手」などを指し、アメリカ国璽のスローガンでは「アメリカ合衆国の建国」を意図する。Annuit Coeptis E Pluribus Unum の二つの標語は共に十三文字で構成されている。これは独立十三州を暗示している。国璽の裏の図柄のピラミッドも十三段であり、国旗にもなった国璽の表の赤と白のストライプも十三なら、星の数も十三個である。

 パターソン (Richard S. Patterson) とダゴール (Richardson Dougall) の説によると、 Annuit Coeptis はウェルギリウスの『アイネイアス』にあるアスカニウス (Ascanius) の祈りの言葉「全能なるユピテルよ、(我が) 勇敢なる取り組みを応援し給え (Jupiter omnipotens, audacibus annue cœptis.)」から拝借したものだという。

 Annuit Cœptis には王権神授説に対抗する建国者の思想が少なからず反映されているように思える。つまり、ヨーロッパの各国の王は、権力は神によって授けられたものだと主張していたが、アメリカの建国者はそれを真っ向から否定して、神が承認する国のあり方は、民主制のアメリカのみと言いたかったのだろう。

 西洋の社会が啓典の宗教に支配されていることは言うまでもないが、自分たちがそうだから、日本もそうだろう、とアメリカ人が考えたことがある。第二次大戦後のいわゆる東京裁判のとき、米側は日本人の被告に対して行動規範の典拠を執拗に求めたという。しかし、日本の神道に啓典はないから、古典文学の断片が示されるのみであった。ただ、日本の神道にも不文律の啓典はあるのだろう。全国民を守る為に、命令に従って自分の命を捧げた神風特攻隊員や人間魚雷となった兵たちの行いは美徳とされ、命令を下した軍の上層部は非難されない。

Latin Index
E Pluribus Unum (Great Seal Slogan)
Novus Ordo Seclorum  (Great Seal Slogan)

トロイアを探せ (ウェルギリウス関連記事)


Friday, December 30, 2011

東海道五拾三次

東海道五拾三次

文殊菩薩の勧めによって、年齢・性別・身分・信条などの異なる五十三人の善知識と呼ばれる人々を訪ね歩き、最後に普賢菩薩に出会って往生を願ったという少年を財善童子という。その遍歴の原話は『華厳経入法界品 (けごんぎょうにゅうほっかいぼん)』にある。普賢菩薩は善財童子に十大願を教える。

江戸時代の歌川広重の浮世絵『東海道五拾三次』は、財善童子のエピソードをなぞられているらしい。

但し、浮世絵は五十五枚ある。五十三の宿場に出発点の日本橋と終着点の京の三条大橋を加えてあるからである。

今では、東京京都間は新幹線で日帰りできる旅にすぎないが、当時は、大袈裟にいえば、人生そのものの歩みのような、なかなか実行できない遠大な旅だったことが想像できる。徒歩ではやはり五十日以上はかかったのだろう。参勤交代や飛脚や行商などのほかは、生涯に何往復もする人はほとんどいなかっただろう。そのため広重の浮世絵セットは人気を博した。

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華厳経
江戸時代
東海道五十三次

Wednesday, October 19, 2011

五行についての覚え書き

西洋人は四大元素 (Fire, Water, Air, Earth) を想定していたが、中国は五行を元素と想定していた。五行は日と月を除いた五つの曜日。火水木金土。対応させるとこうなる。
Fire = 火
Water = 水
Air = (該当なし)
Earth = 土
(該当なし) = 木
(該当なし) = 金

ただ五行相生は曜日の順番ではない。木生火、火生土、 土生金、金生水、水生木。『西遊記』第二回の祖師の詩の中に、この五行を体内で簇 (あつ) めて顚倒 (てんとう) させると、たちまちのうちに仏や仙になれるとある。

五行と五葬

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五行

Wednesday, June 22, 2011

行行出状元

三百六十行、行行出状元
(Sānbǎi liùshí háng, háng háng chū zhuàngyuán)

word-for-word translation
A million ways to work; various businesses, come(s) out, champion.

English translation
There are a million ways to work; the first-class comes out of each and every kind of business.

逐語的邦訳
仕事 (の種類) は無数にあり、どの生業からも、一流の者は出てくる。

国のことわざ。三百六十は「かぎりなく沢山」で、行は「職業」のこと。職業は無数にあるが、どの職業でも一流になれることを表現している。職種として何に就いているかではなく、取り組む姿勢によって己を生かせといった意味である。

 ところで、麻雀を少々かじってみればわかることだが、中国人は数字にめっぽう強い。また、『西遊記』が良い例だが、数字を観念的に利用する。上記の諺では「七十二行 (qīshí'èr háng)」ともいうが、七十二は三十六の二倍の数字である。三十六とその倍数は数が多いことを意味する。三十六計逃げるに如かずは、「万策を弄するより逃げた方がいい」ということである。

 七十二は十二の六倍である。十二は言うまでもなく十二進法では満たされる数字で、現代の半日の時間数であり、年間の月の数であり、星座の数であり、干支の数であり、中華文化圏の昔の一日の時間と方角の大枠の区分の仕方の数であり、ギリシャ神話の主要な神々の数である。また、西洋の悪魔学では方位はやはり十二に区画され、それぞれに六種の悪魔がいるとされ、ソロモン七十二柱という。伝説によると、エジプトのプトレマイオス二世は七十二人の翻訳者を招いて七十二日間で、ヘブライ語版旧約聖書をギリシャ語に訳させたという。

 インドから主に東アジアに伝わっていった仏教では煩悩の数は百八とされるが、百八は十二の九倍である。

 十二やその倍数を完全に満たす数字、または、「無数」とする考え方は、太古からあったものと考えられる。起源は中国かメソポタミアのどちらかと勝手に推測するが、もしかすると、十進法よりも起源が古いかもしれない。

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