Thursday, June 30, 2011

知足常楽

知足常乐
Zhīzú cháng lè

word-for-word translation
To know, to be enough, always happy.

English translation
Always happy is he who knows that he has enough necessities.

逐語的邦訳
知る、足るを、常に、楽し。
(足るを知るは常に楽し。)

中国語の諺。人 (person, man) を指す者 (zhe) という字を加えて、知足者常楽ともいう。「足るを知る者は常に楽し」と読む。老子の『道徳経』三十三章には「知足者富」のフレーズがある。

まだ行ったことはないが、京都の龍安寺なるところにつくばいがあって、その円の真ん中には水の入った四角があり、上に五、向かって左に矢、右に隹、下に「足」から「口」を引いた部分が描かれている。「龍安寺 つくばい」で、グーグルの画像検索を用いると、その写真を見ることができる。これは「吾唯知足 (われただたるをしる)」を表現している。幸せとは、必要最小限のものさえあれば、その条件を満たすのかもしれない。禅は満足することこそ幸せと教えている。必要最小限のものがあれば、というのは、古代ギリシャの犬需派に似ている。
ラテン語の諺には Felix qui nihil debet 「何も持たぬ者は幸せなり (Happy is he who owns nothing)」がある。


PS: 本日は最後に曲を一曲どうぞ。 生きる為に必要なものは自然から与えてもらえる、といった内容の歌です。ルイ・アームストロングによるディズニーのカヴァー曲 Bare Necessities です。


About "Life is a Joke"
Ask yourself whether you are happy...

天下莫柔弱於水 (『道徳経』七十八章)
前後裁断

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中国のことわざ
老子の道徳経
吾唯知足

Wednesday, June 29, 2011

Llamar al pan pan

llamar al pan pan y al vino vino

word-for-word translation
to call bread bread and wine wine.

English saying
to call a spade a spade.

逐語的邦訳
呼ぶ、パンをパンと、そして、ワインをワインと。
(ずばり言う)

スペイン語の慣用句で、「歯に衣着せず言う、ずけずけと物を言う」こと。スペインではパンとワインを引き合いに出すが、英国人は鋤 (剣とも解せるが) を引き合いに出す。また、動詞を省いて al pan pan y al vino vino で「ずけずけと、あからさまに」の意味になる。こういった「AをAという」式の慣用句は古代ギリシャに既にあったという。
日本語のパンはポルトガル語の pão からできた。これはもちろん、日本にパンをもたらしたのがポルトガル人であることを意味している。pão はラテン語の panis からできた単語で、ロマンス諸語はこのラテン語に由来している。

ポルトガル語 pão
スペイン語 pan
フランス語 pain
イタリア語 pane
ルーマニア語 pâine

印欧祖語は *pa- 「まもる、食べ物を与える (to protect or feed)」であり、子孫の英単語は沢山あるが、ラテン語 panis 家出身でフランス語経由で英単語になったのは pastry と company である。

西和辞典
Spanish-English
ロマンス諸語関連書

Sunday, June 26, 2011

non-smoking

non-smoking

--- Word DNA ---------------------------------------
1868 "who does not smoke; not smoking"
1877 (of a railway carriage, place, etc.)"in which or where smoking is not permitted."

FORMATION
non- (negative sign) "not" + smoking "inhaling and exhaling smoke from cigarette, cigar, etc."
NOTE:
1617 smoker appeared in print.
1846 non-smoker appeared in print.
1882 smoker "railway carriage for smokers" appeared in print.
------------------------------------ 言葉の遺伝子 ---

 「煙草を吸わない (人のための)」

If a non-smoking worker occupies the same room as a smoking colleague, the non-smoker gets as much nicotine in a month at work as a smoker does in smoking one cigarette.
非喫煙の職員が喫煙する同僚と一緒の部屋にいると、喫煙者が一本の煙草を吸って口内に摂取するのと同等のニコチンを、非喫煙者は仕事中に口内に摂取することになる。

Concentrations in children with parents who smoked were less marked than in children from non-smoking homes
喫煙する親の子供たちの集中力は煙草を吸わない家庭の子供たちの集中力よりも劣っていた。

I always choose a non-smoking section, which is clearly marked with a red circular notice on every window.
私はいつも、窓にはっきりと赤い丸い印が付いている禁煙席を選ぶ。
 動詞の smoke は「煙 (状のもの) を出す」ことである。煙草の煙を吸ったり吐いたりすること、即ち、「喫煙する」ことを指すようになったのは十七世紀から。
 十九世紀になると、嫌煙家が現れたらしく、non-smoker が誕生する。そのあと、non-smoking ができる。また、十九世紀後期になると、鉄道に禁煙車両が登場し、客車や客室が smoking と non-smoking に分けられるようになった。

たばこの歴史

禁煙のすすめ

Friday, June 24, 2011

Every Word She Writes Is A Lie

Imaginary Friends, a musical play by Nora Ephron, shows a scandalous feud between Mary McCarthy & Lillian Hellman in the literary world. At a TV interview program Dick Cavett Show, McCarthy attacks Hellman with a straightforward remark:
Every word she writes is a lie, including "and" and "the."
あの女が書くことは、and や the も含めて、ことごとくぜんぶ嘘なんです。
(メアリー・マッカーシー)


Mary McCarthy
Lillian Hellamn
Nora Ephron

tsunami

tsunami

--- Word DNA ---------------------------------------
1896 "a series of big sea waves mostly generated by an earthquake that often sweeps over the coast at high speed." Also used in a figurative sense: "sudden big wave, movement, etc."

FORMATION
From Japanese (津波 / 津浪): tsu "harbor" & nami "wave."
Other expressions: 海立 / 震汐 / 海嘯
------------------------------------ 言葉の遺伝子 ---

 英国と日本は島国という点で共通なのに、英国では地震が少ないのだろう。細かい活断層は別として、ブリテン島は地殻のプレートとプレートの境界から離れていて、ユーラシアプレートの上にどっしりとのっているから、めったなことでは大きな地震は来ないように思える。
 それに引き替え我が日本列島は北米、フィリピン海、ユーラシアの三プレートの上にのっている状態で、もし仮にプレートとプレートが離れたら、本州が割れるような状態にあり、更に加えて、太平洋沖には太平洋プレートとの境界線が長々とある。
 また、津波は地形が入り組んで海が狭くなっている陸地の近くでは、勢いと高さを増す。三陸のリアス式海岸はまさにその形を成している。津波では、はるか沖合に出ている船が無傷であることもあるが、港 (= 津) にある船は、陸の方へ流され破壊されてしまう。おそらくかなり昔から、日本人は地震のあとのこの手の波を他の自然現象に由来する波と区別して怖れていたのだろう。
 地質学的相違点は日英両民族の言語の語彙にも影響を与えた。日本語の「津浪」は慶長十六年 (一六一一年) に記された慶長三陸地震に関する記述に最古の用例があるのに対して、英語は独自に対応する単語を有していなかった。日本の最古の用例から数百年後の十九世紀後半になって、地震や海底の擾乱が津波を引き起こすことが解明されたらしく、その頃から、tidal wave で津波を指す用法が出現する。 tidal wave の原義は「潮汐波」である。
 海嘯 (かいしょう) は中国から来た言葉であるが、 tidal wave と似ている点がある。嘯の字には「なく、ほえる」の意味があり、海嘯は「うみなり」を指す。海鳴りとは波の砕け散る音。また海嘯は、潮が満ちて海の波が垂直に高まり、川を逆流していく現象のことも指す。中国では銭塘江 (セントウコウ) という川で見られるという。「津波」の意味を有するようになったは、tidal wave がその意味を持つようになったのとほぼ同じ時代の十九世紀後期で、その意味を与えたのは日本人だともいわれている。現代中国語の海嘯 (haixiao) は「津波」のことも指す。
 OED 第二版は、一八九七年に出版された小泉八雲 (Lafcadio Hearn) の『仏の畠の落ち穂 (Gleanings of Buddha-Fields)』が初出だとしているが、『ナショナルジオグラフィック』はその一年前に、明治三陸地震を報告する記事の中で tsunami を使っている。書いたのは親日家の地理学者シドモア (Eliza Ruhamah Scidmore) である。

http://ngm.nationalgeographic.com/1896/09/japan-tsunami/scidmore-text

 学会では地震由来の波を tidal wave で呼ぶのは誤用と考えられるようになり、二十世紀初頭には seismic sea-wave という学術用語が考案された。seismic はギリシャ語由来の単語で、「地震による」といった意味である。また、論文に tsunami / tunami を使う人が出てきて、徐々にひろまっていった。
 一九四六年、ハワイが津波に襲われたとき、地元の日系人が tsunami と呼び、その言葉が地元紙に採用され、多くの人に知られるようになった。この津波から三年後の一九四九年には、太平洋津波警報センター (Pacific Tsunami Warning Center) が設立された。
 一九六八年、海洋学者のドーン (Van Dorn) が、tsunami を正式に学術用語にしようと提案して承認された。tsunami は正式に英語としても国際語としても認知されるようになった。

Tsunami: Deadly Wall of Water
津波 - 死をもたらす水の壁

Caribbean tsunami hazard.
カリブ海で津波を引き起こすかもしれない危険なもの。

A tsunami wave travels rapidly (up to 500 miles per hour).
津波の一波は猛スピード (時速800kmに達することも) でやってくる。

Scientists can predict tsunamis before they reach the shore.
専門家は岸に辿り着く前に津波を予測できる。

 tsunami は比喩的にも用いられている。

A tsunami of people washed away the government of Bolivia. The poor were sick and tired. Everything had been privatized, even the rainwater.
人の波が押し寄せてボリビア政府を洗い流した。貧しき者は病んで疲れ切っていた。何もかも、雨水までもが、民営化されてしまっていたのだ。
 
Economic tsunami: China's car industry will sweep away western car makers
経済の大いなる波 -- 中国の自動車産業が西洋の自動車メーカーを払いのける。

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Lafcadio Hearn's books
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Wednesday, June 22, 2011

行行出状元

三百六十行、行行出状元
(Sānbǎi liùshí háng, háng háng chū zhuàngyuán)

word-for-word translation
A million ways to work; various businesses, come(s) out, champion.

English translation
There are a million ways to work; the first-class comes out of each and every kind of business.

逐語的邦訳
仕事 (の種類) は無数にあり、どの生業からも、一流の者は出てくる。

国のことわざ。三百六十は「かぎりなく沢山」で、行は「職業」のこと。職業は無数にあるが、どの職業でも一流になれることを表現している。職種として何に就いているかではなく、取り組む姿勢によって己を生かせといった意味である。

 ところで、麻雀を少々かじってみればわかることだが、中国人は数字にめっぽう強い。また、『西遊記』が良い例だが、数字を観念的に利用する。上記の諺では「七十二行 (qīshí'èr háng)」ともいうが、七十二は三十六の二倍の数字である。三十六とその倍数は数が多いことを意味する。三十六計逃げるに如かずは、「万策を弄するより逃げた方がいい」ということである。

 七十二は十二の六倍である。十二は言うまでもなく十二進法では満たされる数字で、現代の半日の時間数であり、年間の月の数であり、星座の数であり、干支の数であり、中華文化圏の昔の一日の時間と方角の大枠の区分の仕方の数であり、ギリシャ神話の主要な神々の数である。また、西洋の悪魔学では方位はやはり十二に区画され、それぞれに六種の悪魔がいるとされ、ソロモン七十二柱という。伝説によると、エジプトのプトレマイオス二世は七十二人の翻訳者を招いて七十二日間で、ヘブライ語版旧約聖書をギリシャ語に訳させたという。

 インドから主に東アジアに伝わっていった仏教では煩悩の数は百八とされるが、百八は十二の九倍である。

 十二やその倍数を完全に満たす数字、または、「無数」とする考え方は、太古からあったものと考えられる。起源は中国かメソポタミアのどちらかと勝手に推測するが、もしかすると、十進法よりも起源が古いかもしれない。

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中国のことわざ

Tuesday, June 21, 2011

zydeco

zydeco

--- Word DNA ---------------------------------------
1949 zolo go (considered a variation of zydeco.) "Southern Louisiana Creole dance music, dance of this music."
1960 zydeco appeared in print.
1979 zodico appeared in print.

FORMATION
Generally believed that the term is probably from Creole les haricots "the beans," cut off from a Creole dance tune title les haricots sont pas salés "the beans are not salty." The Creole phrase meant in a colloquial use: "Times are hard."
------------------------------------ 言葉の遺伝子 ---

 「ザディコ」(英語ではザイディコウのように発音する)
 ルイジアナ州のカリブ海のリズムの黒人ダンスミュージック。このジャンルの名称であると共に、そのダンスを指す。

Zydeco is the traditional dance music of black Creoles in rural Louisiana.
ザティゴとはルイジアナの田舎の黒人クリオールによる伝統的な舞踏音楽である。

Chenier grew up listening to his father play the accordion, zydeco 's traditional lead instrument.
シェニエは、父親の演奏するアコーディオンを聴いて育った。ザディコでは伝統的な主役の楽器である。

 二十世紀初頭に発生した音楽ムーヴメントで誕生し、バンドはアコーディオンや、パーカッションの役割を果たす金属製の洗濯板 (rub board or washboard) などで構成される。かつて洗濯板は本来の目的の為なら木製でも間に合ったのだが、打楽器として鳴りがよくなるように、金属製のものが考案された。
 語源はクリオール語の「豆、いんげん豆」を指す les haricots (レザリコ) からと目されているが、少々疑問である。というのは、クリオールのダンスミュージックの曲名 les haricots sont pas solés 「豆はしょっぱくない」(このフレーズは「景気が悪い」を意味する慣用句であった) から、les haricots は取られているというのだが、この曲が流行したのは一九六五年である。
 OED によると、zydeco という語形はそれよりも五年前に出現している。しかもそのマコーミック (M. McCormick) という人がLPレコードに書いた文は、

Two local groups... have achieved nation-wide record sales with their interpretations of Zydeco music.
二つの地元のグループは、ザディコミュージックを自ら演出することによって、全国規模の記録的なセールスを達成した。

 というものであった。この文から察するに、単語 zydeco はより古くから知られていたことになる。(どんな単語も、印刷される前に、口から発せられたり、手書きで記されたりするのが先ではあることはいうまでもないことだが)
  OED によると、最古の語形は Zologo である。

Oxford English Dictionary

世界の民族音楽

Zydeco CD

Zydeco DVD

Zydeco BlueRay

Monday, June 20, 2011

izakaya

izakaya

--- Word DNA ---------------------------------------
1987 "Japanese-style tavern or café."

FORMATION
From Japanese.
a1751. i- "living, being, or staying" + sakaya "liquor shop"; saka-. the prefix form of sake "sake, or alcholic drink", & -ya "shop, house."
------------------------------------ 言葉の遺伝子 ---

 「居酒屋」

The izakaya is often identified by the red paper lanterns hanging outside. Izakaya are casual and usually offer warm ambience. Even more rustic are yatai. street carts set up as small shops.
居酒屋はおおむね店の外にぶら下げられている赤提灯によって居酒屋であることが示されている。居酒屋はカジュアルなところで、あたたかな雰囲気を提供してくれる。更に簡素なのは、小さな店として設置された路上の荷車の屋台である。

Like other izakaya places, individual dishes are cheap, ranging in price from $5 to $24.
他の居酒屋同様に、料理は各々五ドルから二十四ドルと手頃な値段である。
この日本語の単語は二十世紀後期、アメリカ西海岸に上陸した。
 の使い方は living roomliving の使い方と似ている (居間living room からの翻訳借入であろう)。居酒屋は比較的長い時間居座って飲み食いしたりおしゃべりしたりするところである。
 は、接頭辞ではサカになる。
酒蒸し サカムシ
酒焼け サカヤケ
この母音の e:a の関係はにもある。メやテは接頭辞的用法ではマとタになる。
目蓋 マブタ
手向け タムケ
居酒屋の場合は更に連濁して、イサカヤではなくイザカヤになる。
 「いざかや」は、連結のための母音変化や連濁など、日本語のルールで統語されてできた単語であるが、英語になると、英語のルールで活用するようになる。複数形として -s が付いた izakayas ができた。
Close to the train station were several izakayas.
駅の近くには居酒屋が数軒あった。

居酒屋関連書

Sunday, June 19, 2011

Homo homini lupus est

Homo homini lupus est

word-for-word translation
Man to man, wolf is.

general translation
Man is a wolf to man.

逐語的邦訳
人にとっての人、狼とは、である。
(人は人にとって狼である)

 ローマの劇作者プラウトゥス (Titus Maccius Plautus, c254 BC - 184 BC) の言葉。読んで字の如く、他人はおそろしいものだということを表現している。英単語で is に相当する est がない文形もある。
Homo homini lupus.
人にとっての人、狼。
世の中、人の骨までしゃぶりつくすような人ばかりではない。ホッブズ (Thomas Hobbes, 1588-1679) はセネカ (Lucius Annaeus Seneca, c4 BC - 65 AD) の「人は時に人にとって神聖なもの」というフレーズを見つけている。
To speak impartially, both sayings are very true; That Man to Man is a kind of God; and that Man to Man is an arrant Wolfe.
偏見なくいえば、両方の諺はまがうことなき真実である。人にとって人は神のごときものなり。人にとって人はろくでなしの狼なり。
対句となるラテン語の金句は、
Homo homini deus.
人は人にとって神。
つづけて Homo homini lupus, homo homini deus というと、日本語の拾う神あれば捨てる神ありに似ている。狼と捨てる神は冷酷であり、人を助ける神はやさしい。

About "Life is a Joke"
Latin Index
Lupus in fabula (lupus 「狼」がいるラテン語慣用句)

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Titus Maccius Plautus
プラウトゥス
Thomas Hobbes
トマス・ホッブズ
Seneca
セネカ

Friday, June 17, 2011

ASPIRATION Inspires Us

Emily Dickinson (1830-86) was a quiet, reclusive lady with ambition. Aspiration, one of her poems, shows us an aspect of her nature:
We never know how high we are
Till we are called to rise;
And then, if we are true to plan
Our statures touch the skies.
いかに高きにあるかは気づかぬもの、
昇るよう招かれるまで。
そして我ら、計ることまことなれば、
我らの身の丈、天に届く。
(エミリー・ディキンソン)


Emily Dickinson poetry
エミリー・ディキンソンの詩

Amicus omnibus, amicus nemini

Amicus omnibus, amicus nemini
--- Latin Proverb

word-for-word translation
Friend to all, friend to none.

general translation
A friend to all is a friend to none.

逐語的邦訳
皆にとっての友、[人いない] にとっての友。
(みんなの友は誰の友でもない。)

テン語のことよざ

日本語だと八方美人が思い浮かぶが、言わずもがな、褒め言葉ではない。ラテン語では「誰の友でもない」と言い切っている。このことわざは古代ギリシャに発して、ローマを経由して、欧州に広く伝わっている。
German
Jedermanns Freund ist niemands Freund.
French
L'ami de tout le monde est l'ami de personne.
ロマンス諸語の「友」はラテン語の amicus からできている。
イタリア語 amico
フランス語 ami
スペイン語 amigo
ポルトガル語 amigo
単数与格で nemini となる語は主格では nemo であり、英単語の nobody に対応するが、フランスの作家ヴェルヌ (Jules Verne) の『海底二万里 (Vingt mille lieues sous les mers)』に出てくるネモ船長の名前はここから採られている。

Latin Index
omnibus
胡麻すり

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ジュール・ヴェルヌの小説
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Thursday, June 16, 2011

lithe

lithe

--- Word DNA ---------------------------------------
c1400 "flexible, limber."

FORMATION
From Old English. Of Germanic origin. The oldest sense found in Beowulf is "gentle." Used of water, drink, medicine, weather, chiefly in Old & Middle English: "soft or mild." In Scottish: "comfortable, sheltered, warm." In some dialect, of soup: "smooth."

FAMILY
lithesome [1768 lithe + -some]
lissom [a1800, from lithesome.]
linden [Adopted from German Linden or Lindenbaum.]
lantana [Named in Modern Latin.]
lento [Via Italian, from Latin lentus "flexible, slow."]

PIE ROOT
*lent-o- "flexible."
------------------------------------ 言葉の遺伝子 ---

 lithe は、今日の標準的な用法では、 主にしなやかな人体や動植物の形容に用いるのみである。

The spy Lucrezia arrives, breathless, lithe and graceful as a greyhound. She is clothed in a fawn colored.
スパイのルクレツィアは、息を殺して、猟犬のようなしなやかさと優美さとをもってやってくる。彼女は子鹿色の服に身を包んでいる。

The ermine's long, lithe body enables it to enter the burrows of its prey.
オコジョの長いしなやかな体は獲物の巣穴に入っていくのに適している。

They stripped the lithe long willow-twigs,
彼らはしなやかで長い柳の枝を取り払った。

 この意味の最古の用例は一四〇〇年頃の書物にある。十七世紀のミルトンの『失楽園 (Paradise Lost)』には "His Lithe Proboscis"「(象の) しなやかな鼻」の用例がある。
 古英語や中英語では、人の気質や態度、水の状態や天気、薬の効能など様々なものを形容していて、「やわらかい、やさしい、ゆるやかな。おだやかな、なめらかな」といった意味であった。かつては語幹部が同じ動詞もあったし、名詞もあったが、近代以降、じょじょに使用者がいなくなり、方言化していき、今日に至っては廃用となっている。
 生き残っている方言のひとつにスープの濃さやなめらかさを指す形容詞がある。かつては、「なめらかな (濃い) スープ」を指す名詞の lithe も方言としてあったが、今では廃用となっている。

関連
かばん語 slithy を見る

Scottish
ベーオウルフ
失楽園
Paradise Lost

Wednesday, June 15, 2011



形声文字で、示偏を省いたつくりの方の字「畐」が音符としてフクをあらわす。畐は、膨らんだ器を示す象形文字で、示は祭卓。古来より神に供えたものを分けて食すと福を授けてもらえる、と人々は信じてきた。畐の字は富にも使われている。

現代中国語の幸福 (xìngfú) には、幸せな (happy)、幸福 (happimess) のほかに、祝福された (blessed) の意味がある。

中国人は旧正月になると、菱形に傾けた四角い紙に書いた福の字を家の門や壁に逆さに貼り付ける。この逆さ福を倒福 (dào fú) と呼ぶ。倒は到と音が同じなので、「福に到る」と考える。

las Uvas de la Suerte (スペインの行く年来る年)
ウェールズの行く年来る年
大福帳
湯圓
河豚は食いたし命は惜しし

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字統

Tuesday, June 14, 2011



しあわせとは何か。漢字に答があるとも思えないが、調べてみると、「幸」は手械の形をあらわした象形文字である。執の字は罪人を執 (とら) えることであり、報の字は報復刑を加えること。『字統』によると、原義は僥倖のこと。思いがけない幸運。英語でいえば --- luck
この漢字には中国の戦乱の歴史が刻み込まれている。戦争で勝った方は、負けた方を殺そうと、奴隷にしようと思うがままであった。手械をかけられるのは、殺されるよりもましなことで、「幸」せなことだったのだろう。現代中国語でも幸の字は「運がいい (lucky)」ことをあらわす。
英語の happy も hap 「好運」を語源としている。happy はゲルマン系で先祖の印欧祖語は *kob- 「ぴったりあう (= to fit)」である。これはもちろん手械とは関係がない。ギリシャからアイルランドのケルト語まで、「しあわせ」は、好運なことと関連づけられているが、例外はウェールズ語である。ウェールズ語で「しあわせ」は「かしこい」ことであった。

字統

Monday, June 13, 2011

shoestring

shoestring

--- Word DNA ---------------------------------------
1616 "string of a shoe."
1878 attributive "like a shoestring, narrow, slender."

1882 "very little capital, small amount of money." The sense was made in the US.
1890 attributive "running on a shoestring, cheap, petty."

FORMATION
shoe + string
Both words are of Germanic origin.
------------------------------------ 言葉の遺伝子 ---

 靴と紐で「靴紐」
 間にハイフンを入れて綴る人もいる (shoe-string)。
 名詞の前に来る限定用法では、「狭い、細長い」になる。

shoestring river terraces.
細長い河岸段丘。


 「せまい」は「ほんの少しの」のことでもある。

shoestring majority.
僅差で上回った多数派。

 細長いフライドポテトを指すようになったのは二十世紀初頭からで、当初は shoestring potatoes の語形で、「イモ」がついていたが、やがて、「イモ」なしの shoestring だけでも、通じるようになった。"We ate shoestrings at that place" 「あの店で "くつひも" を食べた」などというときは、本当に「靴紐」を食べたわけではなく、フライドポテトを食べたことになる。
 shoestring catch は、野球で野手が地面すれすれでフライをランニングキャッチすることをいう。これは二十世紀のはじめ頃にできた米国用法である。
 shoestring fungus は根腐れを発生させる菌類のことで、紐状に伸びるのだろう。shoestring (root) rot は「根腐れ病」のことである。
 shoestring tie は紐状のネクタイのことである。
 ところで、shoestring には、十九世紀後期に米国で出現した「小銭」の意味がある。 Every businessman started on a shoestring 「商売人は靴紐一本 (乏しい資本) で商売をはじたものだ」のような使い方は、日本の昔話の『わらしべ長者』を連想させる。日本語 の「自転車操業」は to operate on a shoestring 「細々と営む、乏しい資本で経営する」と、綱渡りしているような感覚で似ている。
 この用法は、十九世紀に、靴紐や刺繍した小物や薬などをいろいろと扱う行商人がいて、彼らの扱っていた商品があまりお金にならないというところからできた表現である。限定詞としては、資本・財源・予算が乏しいことを意味する。

shoestring venture.
小資本の起業。

that shoestring republic, Chile.
あの財源の乏しい国、チリ。

their maiden shoestring trip through Southeast Asia.
東南アジアを巡る (彼らの) 最初の低予算の旅行。

Sunday, June 05, 2011

Cupido atque ira consultores pessimi

Cupido atque ira consultores pessimi

word-for-word translation
Desire and anger, consultants, worst.

general translation
Desire and anger are the worst consultants.

逐語的邦訳
欲と怒り、顧問、最悪。
(欲と怒りは最悪の顧問だ。)

古代ローマのことわざ。

ローマのキューピッド (Cupid) はヴィーナス (Venus) の息子であり、日本ではもっぱら恋愛の取り持ち役のようなシンボルで扱われている。ギリシャではエロス (Eros) と呼ばれていたが、盲目の子供で、銀弓神アポロン (Apollo) を凌ぐ弓の名手である。エロス (= キューピッド) の矢で心を射抜かれると、完全に取り憑かれたように、一途に恋するようになる。

ラテン語 Cupido は、神の名であるとともに cupiditas と同義の普通名詞であった。乞うことと恋焦がれること、好きであること (love) と欲すること (desire) は同一の単語で表現されていたのである。

このことわざは読んで字の如く、欲望と怒りの言う通りに従うと、ろくでもない結果になることを意味している。

Latin Index

foot (ラテン語 pessimus は foot の血縁語)

羅和辞典
ギリシャ・ローマ神話

Saturday, June 04, 2011

Human philosophers and cats

Hippolyte Taine (1828-1893), French scholar, who is known for his theory that race, milieu et moment, or race, environment and era, develop human culture, once said:
I have studied many philosophers and many cats. The wisdom of cats is infinitely superior.
私は多くの哲学者と多くの猫を研究した、猫の知恵の方が限りなく勝っている。
(イポリット・テーヌ)

Friday, June 03, 2011

Hobson's choice

Hobson's choice

--- Word DNA ---------------------------------------
1660 "option to take the one offered thing or none."

FORMATION
The Phrase was made of a legend of a carrier at Cambridge Thomas Hobson (1545-1631). He is said to have given any customer the option to take the horse next to the stable-door or none.
NOTE: Also, a rhyming slang for voice.
------------------------------------ 言葉の遺伝子 ---

 ホブソンの選択肢とは、「差し出されたものを取るのでなければ、何も取れない二者択一の権利」のことで、実質的に「唯一の選択肢」であり、選り好みできない状況を指す。

A Hobson's Choice at a Hospital
Cut in Pay or No Job
病院では選り好み不可
減給を受け入れないなら、失業あるのみ

 この成句は十七世紀のケンブリッジにいた運搬屋で貸し馬業を営むトマス・ホブソンの伝説からできた。ホブソンは客に選り好みを許さず、厩の出入り口から一番近いところにいる馬を貸し出していた。客が別の馬を欲すると、ホブソンは馬を貸し出さなかった。ホブソンがローテーションどおりに貸し出すようになったのは、客が足の速い馬ばかり借りたがり、その馬だけが疲れてしまっていたためだという。ホブソンは一六三一年一月一日に亡くなったが、ミルトン (John Milton, 1608-74) は墓碑銘を二つ捧げた。ケンブリッジの町には彼の名に因むホブソン通りがある。
 Hobson's choice は、コックニーの押韻俗語では、 voice「声」を指す。

Proverb books

英語慣用句の本

Thursday, June 02, 2011

Felicitas multos habet amicos

Felicitas multos habet amicos

word-for-word translation
Prosperity, many, has friends.

general translation
Prosperity has many friends.

逐語的邦訳
繁栄は、沢山、持つ、友を。
(栄えあれば、多くの友ができる)

 ラテン語のことわさ゛。

 felicitas はこの文では物質的な豊かさとしての幸福を指す。羽振りがいいと人が集まって来る。古代ギリシャには「栄えある者には、万人が親戚」を意味することわざがあった。洋の東西を問わず、人の考えることは同じである。芥川龍之介が扱ったことで有名になった杜子春は、莫大な不労所得を何度か得たが、やはり、財産があるうちは友が多く、財産がなくなると、見向きもされなくなった。

 ラテン語名詞 felicitas は形容詞 felix から出来ていて、この単語から、現代英語 felicity などの単語ができた。

Latin Index
eurous: quotation on OED

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Erasmus Adages
芥川龍之介
日本近代文学

Wednesday, June 01, 2011

opuscule

opuscule

--- Word DNA ---------------------------------------
1656 "little work." (= opuscle, opusculum)

FORMATION
Via French from Latin.
opus "work" + -cule (French diminutive sign, corresponding to Latin -culus, -cula, -culum.)

PIE ROOT
*op- "to work or produce in abundance."

* = reconstructed form

See the word family: omnibus
------------------------------------ 言葉の遺伝子 ---

音楽や文学の「小品」のこと。opus は「作品」を、-cule は指小辞で little に値する。この単語は通例、複数形 opuscula で用いられる。opus の女性形は opera であるが、この単語はもちろん「オペラ、歌劇」のことを指す。

印欧祖語は *op- 「はたらく、うごく、豊富につくる」であるとされ、たとえば、omnibus などの omni- も、opus と同形とされている。operate は「巧みにこなす、あやつる」といった語感を有する。co- は「共」であるから、cooperation は「共に働くこと」で「共同、協力」の意味になる。
-cule (フランス語由来形) や -culum (ラテン語単数中性形) は、たとえば、molecule 「分子、微粒子」などの語にも見ることができる。

omnibus

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