Monday, October 22, 2012

冬将軍

八一二年、フランスのナポレオン軍がロシアに侵攻してモスクワを包囲した。しかし、厳しい寒さと積雪に苛まれて撤退を余儀なくされた。ロシアの冬将軍が勝利したのである。冬将軍はロシア語ではジェド・マロース (Дед мороз) という。英国の記者はそのロシア語を General Frost と英訳した。Frost は「霜、大寒、冬 (の寒さの厳しさ)」のことで、日本語の冬将軍は英語からの翻訳である。危機的状況下で、自然現象が正しい方に味方するという考え方は古今東西いっしょである。(元寇のとき、神風が吹いて日本は救われた)

 ジェド・マロースは雪の上着をはおり、氷の靴を履いた白ヒゲの老人で、民話では、辛抱強いこどもに褒美を与え、我慢できないこどもには冷たい。いじわるな継母に家から追い出されたこどもがジェド・マロースに出会ったとき、ジェド・マロースは冷気を吹きかけたが、その子は「寒くない」と言って我慢した。ジェド・マロースは毛布と食べ物を与えた。そのことを知った欲張りな継母は自分の実の子にも同じ思いをさせようとして外に出した。ジェド・マロースは冷気を吹き付けた。その子は「寒い、寒い」と不平を言って、辛抱強くなかった。ジェド・マロースは冷気を吹き続けた。その子は凍死した。

 ジェト・マロースは冷害を齎すと信じられていたので、ロシアの農民は春になると、お供え物を捧げていた。




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