ネメシス (Nemesis) はギリシャ神話の女神だが、天体に名前を付ける際は神話から引っ張ってくることが多く、ネメシス理論では未だ発見されていない太陽の伴星の赤色 (または褐色) 矮星のことを指す。恒星が双子や三つ子、あるいは、連星で互いの重力で引っ張り合いながらくるくる回っている例は珍しくなく、この事実はネメシス仮説に信憑性を与えていたが、熱や光の発散が少ない星も発見できる赤外線観測衛星を用いた探索でも、ネメシスは発見されなった。よって、太陽は今も独り星のままである。
そもそもネメシス理論は古生物学者のロープ (David Raup) とセプコスキー (Jack Sepkoski) が一九八四年に、地球上の大量絶滅には2,600万年の周期性があると指摘したことに端を発している。天文学者の二つのグループがそれぞれ、古生物学者の指摘に基づいて、太陽に伴星があると仮定した。それによると、「死の星」ネメシス (“Death Star” Nemesis) なるものが太陽から約95,000天文単位 (1.5光年) 先の周回軌道上にあり、2,600万年毎に太陽系外縁部のオオルトの雲 (Oort Cloud) の小天体をはじき飛ばして、多数の彗星を発生させ、その彗星の一部は地球に衝突して、地球上の環境が激変し、その変化に対応しきれない生物種は絶滅する、というものである。恐竜が絶滅したおおよそ6,500万年前のK-T境界時には75%の種が地球上から姿を消したという。この出来事によって我が世の春を謳歌していた大型爬虫類は絶滅し、こつこつと生きていた哺乳類の時代がやってきた。一説に、恐竜の時代が存続していたら、人類の誕生はなかったともいわれている。
ネメシス仮説の証明に必要なのはネメシスの発見だけである。現在もし、小さくて暗い星のネメシスが太陽の軌道上の計算通りのところにあれば、この仮説は真であり、なければ、偽である。一方、印欧祖語は再建されたものしか現存しない。もしオリジナルの印欧祖語が太古のどこかにあったとしても、時間が食い尽くしてしまっている。時間の壁のせいで確実性は失われている。言語の寿命は星の寿命に比べて極めて短い。言語の命は長くて千年といわれている。たった十世紀で、どんな言語も自然に放置していると変化してしまい、別の言語になってしまうのである。現代の英語話者は古英語を理解できないし、現代の日本人は『万葉集』を古語の学習なしに理解することはできない。
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