Friday, November 15, 2013

首を取り換えるきっちょむ話

きっちょむ (吉四六) は大分に伝わる口承の昔話で、口伝えであることから、話の種類や、一つ一つの話のヴァリエーションは豊富にあるのだろう。頓智話で落語のネタになった話もある。 

 首を取り換える話としては、『聊斎志異』の陸判の話を書いたことがあるのだが、首を取り換える吉四六話の場合は怪談ではなく、いわゆるジョークであり、落語にアレンジできそうなものである。

 その話はだいたい次のようなものである。

 吉四六の近所に人の話を聞くのが三度の飯より好きな男がいましたが、しかし、自分にとって納得のいかない話となると、「そげんなことあるか」と文句をつけていました。ある日、吉四六は。話をしてやってもいいが、文句を言ったら、米一俵もらうぞ、とその男に言いました。その男は話を聞くのが好きなので、その条件をのみました。吉四六は話をしました。

 ある日、大名行列の上空に鳶が飛んでいました。鳶が糞をして、殿様の扇子にひっかかりました。殿様が、扇子のおかわりをもて、と言うと、家来が別の扇子をもってきました。しばらくすると、今度は鳶の糞が殿様の刀にかかりました。殿様は、刀のおかわりをもて、と言うと、家来が別の刀をもってきました。またしばらくすると、今度は鳶の糞が殿様の頭にかかりました。殿様は、首のおかわりをもて、というと、家来が新しい首をもってきました。

 ここまで話したとき、話を聞くのが好きな男は思わず、「そげんなこと」と言ってしまいました。吉四六は待ってましたとばかりに、

 「米一俵、いただき!

 首を取り換える話は古今東西ほかにも沢山あるのだろう。

 ふと思い出したのは、やなせたかし作のアニメ『アンパンマン』である。アンパンマンは顔にダメージを受けると力がでなくなるが、そんなときはジャムおじさんから新しい顔をもらって復活する。




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