Saturday, December 01, 2012

師走

師走は「学校の先生」という説があるが、それはありえない。師走は日本に学校制度が確立される前からある言葉であり、たとえば、芭蕉の俳句にも師走の字は使われている。
雪と雪今宵師走の名月か
 平安末期の「色葉字類抄 (いろはじるいしょう)」は、お師匠様が忙しく東奔西走する月なので師走というと解説している。お師匠様とは僧侶のことで、年末には先祖の霊を祀る為にお経を上げる為、お坊さんは檀家まわりをしていた。しかし、この師走は当て字で、万葉集の十二月は慣用的に「しはす」と読むことから、語源は更に古いと考えるのが妥当。巻八の一六四八の紀少鹿女郎(きのをしかのいらつめ)の歌に十二月 (しはす) は出て来る。
十二月には沫雪 (あわゆき) 降ると知らねかも梅の花咲く含 (ふふ) めらずして
 「(陰暦の) 十二月 (しはす) にあわ雪がふるとも知らず、梅が咲いている。つぼみのままでいないで」

 ちなみに十二月は現代北京語では shí èr yuè と発音する。

 ほかに、年果つを源とする説、四季果つを源とする説、為 (し) 果つを源とする説などがあるが、どれもこじつけめいていて疑問。

 太陽暦の十二月は英語では December という。これはラテン語の decem 「十」と関係がある。「十月」が「十二月」になったのは、古代ローマのロムルス暦には、現在の暦の一月と二月がなかったためである。

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