Tuesday, May 17, 2011

Ulysses pannos exuit


Ulysses pannos exuit

word-for-word translation
Ulysses, rags, has taken off.

general translation
Ulysses has taken off the rags.

逐語的邦訳
オデュッセウスはぼろきれを脱ぎ去った。

 『オデュッセイア』の逸話から出来たフレーズ。見違えること、がらりとよくなること。
 ギリシャ名オデュッセウスはローマ名ウリセスであり、英語名はユリシーズであるが、故郷のイタケ (Ithaca) の島に漂着したとき、乞食同然の姿であった。しかしイタケの王であることを証明する手段はあった。留守中に国に集まってきて宮殿を占拠し、オデュッセウスの妻である王妃ペネロペイア (Penelope) に言い寄っていた者たちと、伝来の大弓の引き比べでIDを示せるように仕組んだのである。オデュッセウスの国や妻を横取りしようとしていた者たちは誰一人としてまともに弓を引けなかったが、最後に正体いまだ明かさずのぼろをまとったオデュッセウス本人が見事に弓を引き矢を放って見せた。一同が屈辱的な怒りを覚える中、オデュッセウスはぼろを脱ぎ捨て、正体を明かし、王国の簒奪者どもを成敗する。
 この表現は「君子は豹変する」に似ている。豹の斑がはっくりくっきりしているように君子たる者は過ちを改めるというのが本来の意味であったが、態度ががらりとかわってぐっとよくなることを意味していた。「オデュッセウスはぼろを脱ぎ去った」は、本来の姿を露わにして、格段に良くなったことを指すから、古来の意味では西洋と東洋の二つの諺はよく似ている。「君子は豹変する」の原典は『易経』である。
 ただ、「豹変」は、今日では、「君子は」と必ず結びつくわけではなく、たとえば、「殺人鬼に豹変した」などと、悪い方に急にかわることも意味するようになったから、その点では異なっている。

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