のみの市は英語の flea market を翻訳借用した語句。日本では音をなぞってフリーマーケットということもある。日本語では flea も free も区別なくフリーなので、「蚤」よりは「自由」の方が響きが良いということで使用されるようである。ただし、イディオムの free market は、一般的には、「自由市場」という経済術語で、政府の介入が少ない民間主導の経済体制を作る国の市場を指す。
flea market はフランス語の marché aux puces 「路上市場」を翻訳借用したものだが、 puce には「蚤」のほかに「かけら、かけたもの (chip)」の意味がある。また、人を指すときは「小物、みみっちいやつ」のような意味がある。フランス語の puce には「はんぱもの」という訳語を充てても良いかもしれない。OED によると、英語の flea market は一九ニ二年の文献に出てくる。その文は、「のみの市と呼ばれているのは、こまごましたもの (fleas = がらくた) をかきあつめて、種々雑多な多数の中古品を売っているからである」というような解説をしている。のみの市の出店者はかつてはテキ屋や道具屋のような商売人だけだったのだろう。今では、一般の人たちが家庭で不要な未使用品や中古品を売るためにもちよるところものみの市と呼ぶようになった。
フランス語 puce は英語にも入っているが、蚤の色、即ち、「赤褐色 (の)」のみを指す。フランス語 puce はラテン語 pulex 「蚤」に由来している。 flea はゲルマン語族の英単語である。
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