幻想を好むのは小泉八雲やホルヘ・ルイス・ボルヘスも同じであった。また、中国には一炊之夢の逸話があったと思う。芥川の『魔術』は一炊之夢的モチーフでできた物語である。但し、飯を炊く間の夢ではなく、葉巻を吸っている間の夢だが。
『魔術』が千夜一夜にインスパイアされた物語であることも想像できる。魔術の使い手であるミスラ君は言う。
『魔術』が千夜一夜にインスパイアされた物語であることも想像できる。魔術の使い手であるミスラ君は言う。
「ジンなどという精霊があると思ったのは、もう何百年も昔のことです。アラビヤ夜話の時代のこととでも言いましょうか。・・・」
『魔術』において人間の欲なるものは単純に扱われている。富や財への欲望である。しかし、文豪に尋ねてみたいのは、スキルを得たいだとか特別な存在になりたいというのも欲であり、もし欲あるならば、魔術は教われないというのであれば、魔術を身に付けたいと思うことが欲なのだから、決して魔術は教えてもらない、ということになるではないか、ということである。
さて、作家は何と答えるか?
いろいろと論難すると、短編を長編に作り変えて答を提示してくれたかもしれない。
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