Thursday, April 19, 2012

芥川の一服の夢

川龍之介の作品には、煙草のせいか、お酒のせいか、何がしかの精神安定剤のせいか、本を読みすぎているせいか、判然とはしないが、幻想的なものが多いように感じる。『河童』は河童の国を訪ねる一種ガリバー的な物語だし、『蜘蛛の糸』は天国から地獄に蜘蛛の糸を垂らす話だし、『杜子春』は仙人が出てくる話で、漱石が絶賛したという『鼻』はリアリティーのない長い鼻をコンプレックスにしている僧の話である。また、未完ながらも『リチヤアド・バアトン訳「一千一夜物語」に就いて』なるエッセーも書いている。

幻想を好むのは小泉八雲やホルヘ・ルイス・ボルヘスも同じであった。また、中国には一炊之夢の逸話があったと思う。芥川の『魔術』は一炊之夢的モチーフでできた物語である。但し、飯を炊く間の夢ではなく、葉巻を吸っている間の夢だが。

『魔術』が千夜一夜にインスパイアされた物語であることも想像できる。魔術の使い手であるミスラ君は言う。
「ジンなどという精霊があると思ったのは、もう何百年も昔のことです。アラビヤ夜話の時代のこととでも言いましょうか。・・・」
『魔術』において人間の欲なるものは単純に扱われている。富や財への欲望である。しかし、文豪に尋ねてみたいのは、スキルを得たいだとか特別な存在になりたいというのも欲であり、もし欲あるならば、魔術は教われないというのであれば、魔術を身に付けたいと思うことが欲なのだから、決して魔術は教えてもらない、ということになるではないか、ということである。

さて、作家は何と答えるか?

いろいろと論難すると、短編を長編に作り変えて答を提示してくれたかもしれない。


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