Monday, February 06, 2012

なまけものジャック

怠惰は基督教では七つの大罪の一つと数えるが、イングランドの古い民話に『なまけものジャック (Lazy Jack)』と呼ばれるものがある。はじめはものぐさであったが、素朴で素直な少年であったために、ハッピーエンドとなる物語である。日本にも似たような民話はありそうだが、咄嗟には浮かんでこない。民話は単にエンターテイメントであったばかりでなく、親から子に伝えるべき様々な生活の知恵を盛り込んだものであった。おそらく、当初はもっと単純なあらすじのものだったのだろう。

なまけものというと、のろま、愚鈍、馬鹿などと見たり、役立たずと見たりする人もいるだろうけど、何事も一面的に見るのはよろしくない。なまけものジャックは最後には、口の聞けない少女を助ける。

物語を詳細に書いてみる。

貧しい母親と二人暮らしのなまけものジャックは食っちゃ寝・食っちゃ寝の生活をしていたが、とある月曜日、母親にせかされて仕事をしよう決める。

火曜日、近所の農家にいって手伝いをして駄賃をもらうが、帰りに小川に落としてしまう。母親はかんかんで、「ちゃんとポケットに入れてもってきなさい」と忠告する。ジャックは素直なので次はそうするという。

水曜日、乳牛の世話を手伝って牛乳をジャー一本分分けてもらったのだが、その牛乳をポケットに入れて全部こぼしてしまう。「それはちゃんと頭にのせてもってきなさい」とかんかんの母親は忠告する。ジャックは素直なので次はそうするという。

木曜日、農家に行ってチーズ作りを手伝い、お礼にチーズをもらってくるが、ジャックはチーズを頭の上にのせて運んだので、日が当たり、帰宅するまでにはどろどろにとけてしまう。「ちゃんと両手に持って帰ってきなさい」とかんかんの母親は忠告する。ジャックは素直なので次はそうするという。

金曜日、パン屋に行って手伝う。パン屋はジャックに猫をあげる。ジャックは慎重に猫を両手で抱えて連れて帰ろうとしたが、猫は途中で暴れてひっかいて逃げてしまう。「ちゃんと紐で結わえてくればいいんだよ」とかんかんの母親は忠告する。ジャックは素直なので次はそうするという。

土曜日、肉屋の手伝いをして、肉を分けてもらうが、紐で結わえて引きずって帰ったので、家に着くまでに肉がぼろぼろになってしまう。「ちゃんと肩に担いで持ってきなさい」とかんかんの母親はいう。ジャックは素直なので次はそうするという。

日曜日、牧場で手伝いをして、ロバをもらう。ジャックは苦労してロバを肩に担いでえっちらほっちらうちに帰るのだが、帰路にお金持ちのうちがあり、そこにはかわいそうな一人娘がいる。その女の子は口が聞けず、医者がいうには、誰かが笑わせないと口が聞けるようにはならないのだという。そこにやってきたのが、苦労しながらロバを担いでいるジャックである。窓からその様子を見た女の子はゲラゲラと笑い出し、口が聞けるようになる。父親の旦那さんは大喜びで、ジャックと娘を結婚させることになる。ジャックはお金持ちの紳士になり、貧しい母親に親孝行もして、めでたしめでたし。

この話は産業革命以前のイングランドをどこかに漂わせているように感じる。

アマゾンを探検して英国の民話をさぐろう!
イギリスの民話
English fairy tale

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