C'est saint Roch et son chien
聖ロックとその犬だ、とフランス語でいえば、「いつも一緒にいる」ことを表す。日本ならさしずめ、西郷さんと忠犬ハチ公だ、といえるかもしれない。
モンペリエの聖ロック (St. Roch de Montpellier) は十四世紀に生まれたフランスの聖者で、生まれつき胸に赤い十字の印があったという。親は裕福であったが、譲り受けた財産を貧しい人達に分配して、自分は托鉢しながらローマに巡礼した。旅の途中、方々でペスト患者を救ったという伝説がある。当時、ペストはヨーロッパで猛威をふるっていた死の病であった。帰路、聖ロックも黒死病にかかったが、そのとき犬が毎日パンを運んで聖ロックを助けたという逸話がのこっている。犬がペストで黒くなった聖ロックの皮膚をぺろぺろと舐めると、みるみる肌の色は健康なときの色になっていき、聖ロックは死の病から生還した。
犬の飼い主が、毎日パンを運ぶ犬を不思議に思って、ある日ついていくと、そこには闘病中の聖ロックがいた。それがきっかけとなって、犬の飼い主であるピアチェンツァ (Piacenza)の領主パラストレッリ (Palastrelli) 伯爵は聖ロックの弟子となった。
聖ロックは難病の人や医者、疫病を怖れる人、苦悩する人、巡礼する人の守護聖人であり、そして、犬の親友と信じられている。
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