Tuesday, July 24, 2012

桃源郷とユートピア

桃源郷は東晋の詩人陶淵明 (365-427) による『桃花源郷』から。漁師が舟で沢を上っていくと、桃の花が咲き誇る仙境に辿り着く。そこから更に進むと、微笑みを絶やさず働く豊かな人々が暮らしている。漁師は歓待されいろいろと話をする。そこに住む人々は秦の時代に始皇帝の圧政を逃れて山に住みついた人々の末裔であった。人々は数百年もの間、外界との交渉を一切断って生活していた。漁師は数日を桃源郷で楽しく過ごして元の土地に帰った。世間の人々は桃源郷の噂を聞いて探しに出掛けたが、誰も辿り着けなかった。

それから千年ほどが過ぎると、英国にも桃源郷は出現する。ユートピア (Utopia) はモア (Sir Thomas More, 1478 - 1516) の十六世紀の小説『ユートピア』から。ギリシャ語 οὐ “not” τόπος “place” から作った言葉で、字義は「どこにもない場所」 モアはその島が赤道の南にあるとし、人々は自然に則って暮らしている。モア自身はカトリック教徒で、英国国教会を打ち立てたヘンリー八世と対立し、ロンドン塔に幽閉され、処刑された。

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陶淵明

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