black
名詞では「くろ、ブラック」
形容詞では「くろい、くらい」
古英語 blæc, blac から。
古英語期の長母音語 blác は
「輝く、白い、蒼白い」
両語には「色が欠けている」の
共通語義があり、
「おそらく血縁だろう」
とウィークリーは言っている。
(Weekley’s Etymological Dictionary)
現代の比較言語学では
両語は同源と説く。
中英語期、つまり、英語に
フランス語がなだれ込んできた時代、
「黒」担当が black になり、
「蒼白い」担当が blake / bloke になったが、
後者はフランスから来た pale におされて
次第に消えていった。
もっともこの時代は、綴り方も
統一されていなかったし、
方言も多かったから、
blake が黒を指すのか、白を指すのか、
OEDの編集者にさえ判読できない
用例がのこっている。
black は「黒、黒い、暗い」を基本義にして、
様々な具体義を獲得した。例えば、
アフリカやオーストラリアなどの
黒い肌の色の原住民や、
その子孫たちを指したり、
(例: black music / black rights / black English / Blacks in the White Elite)
土などがこびりついて
容易に落とせない汚れを指したり、
(I'd rather have black hands and plenty of meat
than never such white ones and nothing to eat.)
黒髪や黒髪の人、または、
肌が浅黒い人のことを指したり、
(The fair, the black, the learned,
and the unlearned do all pass away.)
水が深いことや雲が厚いことを形容したり、
(blackest cloud)
死をもたらすようなものにつけたり、
(Black Death)
人の気持ちを暗くさせたり、
傷つけたりするものを指す。
例えば、悪気がなく人を喜ばす嘘は
white lie
反対に、悪意のある騙す嘘は
black lie
他者を楽しませたり、人の役に立つ魔法は
white arts / white magic
反対に他者を傷つける魔法は
black arts / black magic
ゆすりたかり、脅迫は
blackmail
嫌味や風刺を含んでいたり、一部の人々の
気持ちを逆撫でる馬鹿話は
black joke
他にも、人はネガティブなものに
黒を使う傾向がある。
好ましくない人々の名簿は
blacklist
好ましくない人、集団の中の厄介者は
black sheep
違法な取引をするところや闇経済は
black market / black economy
不吉なことが起こりそうな金曜日は、
Black Friday
相場が暴落した月曜日は
Black Monday
日本では人は真っ赤になって怒るが、
英語圏では黒くなって怒る。
(She looked black.)
単に色を指すこともある。たとえば、
コーヒー・紅茶に牛乳やクリームが
入っていないこと。
(In the Middle East the traditional way of
drinking coffee is black with sugar but no milk.)
比較言語学者は
black や blake / bloke の
共通基語として、印欧祖語
*bhel-
を再建している。
この祖語は「きらめく、かがやく、
もえる、ひかる、輝く白、光沢ある色」
などを意味すると想定されている。
この祖語に基づく「黒」は、
ほかの印欧諸語には見当たらない。
ゲルマン語族は swart 「黒い」と
同系のことばで「黒」を表す。
ほかの語族も別語源である。
ギリシャ語 μαύρος (mavros)
ケルトのアイルランド語 dubh
インドのヒンズー語 kaalee
スラブのロシア語 chernyy
バルトのリトアニア語 juoda
アルメニア語 sev
「黒」を指すロマンス諸語は
ラテン語 niger の子孫語。
この単語は「夜」を指す印欧祖語
*nokwtz
からと考えられている。
からと考えられている。
英語の night も
この祖語から出来ている。
*bhel- が「黒」になったのは
英語だけかもしれない。
*bhel- はロシア語 belyi 「白」の語源。
この言葉は英単語
beluga
の構成要素になっている。キャビアを孕む
「シロチョウザメ」のこと。
*bhel- はラテン語 flavus 「きいろ」の
語源で、学術用語
flavonoid
に使用されている。
更に、ラテン語 flamma 「炎、火」も
この祖語からできたとされ、
flame
flammable
flamingo
などの語源とされる。
ラテン語 fulgere 「輝く」からは、
effulgent
ができている。
(ラテン語 f = ゲルマン諸語 b)
*bhel- はまた「青」、つまり、
blue
の語源でもある。ゲルマン祖語から
古仏語を通じて英語化した。
*bhel- はまたゲルマン祖語
*blaso
「松明、炎」から、
blush
「顔が嬉しさで輝く」や
blaze
「燃え立つ、輝く」を生み出した。
black は一見鮮やかさや
光り輝くことと無関係と
思われるが、その直接の祖語は
*bhleg-
「燃える」のO階梯形
*bhlog-
「燃やした = 黒くした = 色を消した」
である。従って、black は
bleach
「漂白、脱色、ブリーチ (する)」
と同源である。
他にも、黒と白、光と闇が
同じだったという証拠はある。
blank 「空白」/ blanket「毛布」
フランス語の blanc 「白」から。
印欧祖語→ゲルマン祖語→フランス語→英語
ブランケットの原義は「着色していないウール」
blond「金髪の」
ゲルマン祖語→俗ラテン語→仏語→英語
blind 「目が見えない」
ゲルマン祖語 *blinda-
原義は「くもっている」
原義は「くもっている」
blink 「まばたき、光が明滅する」
原義は「目覚めて目をあける」
blend 「まぜる」
ゲルマン祖語 *blandan
原義は「くもらせる、まぜて濁す」
原義は「くもらせる、まぜて濁す」
blanch 「青ざめさせる、白くする」
blank と近縁。
blank と近縁。
複雑な語義の変遷を辿った言葉に
blench
「ぎくりとする、たじろぐ」
がある。古英語 blencan 「だます」から。
血縁は blink に最も近い。
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black
PIE *bhel- “to shine, flash, burn; shining white; bright color.”
PIE extended form *bhleg- “to shine, flash, burn.”
O-grade form *bhlog- “burnt; which has become black; which has become colorless.”
Proto Germanic “blakaz
Old English blæc, blac. (blæcan, v. bleach “to erase colors; to whiten,”) blác (long vowel) meant “pale, wan, colorless.”
Black is the color of the spot, which reflects no rays of light. Darkness. The font color which the HTML code (font color=#000000)(/font) shows on the web page. Or a similar dark color. Something or someone dark-colored.
Black sometimes implies “bad state or nature; dirtiness; maliciousness; illegality; threaten; death, etc.). Now, black has lost the senses of “pale, wan ,colorless.”
Black, used as a verb, means “to make something black“; especially, “to put polish on black shoes or boots.”
Black is cognate with some bl- (b-l / fl- ) words, such as bleach, blank, beluga, blue, flavonoid, flamingo…
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