品の字は会意で、サイを三つ並べた形。サイは祝禱を収める器。それを三つ積んであるのは種々の祝禱を合わせて行うこと。転じて、等級や種類を示す字になった (例: 品種、品物、品質)。モノのみならずヒトにも用い、出自・性分・性格・礼儀作法などについて言及する (例: 人品が卑しい / 品格がある)。モノ・ヒトともに本質的な中身を暗示させる字で、品定めは中身・本質・natureを論じるということである。清代の『説文段注箋』には、人の口三つから成る、の如く説明があるが、それは本来の字源ではないという (白川静著『字統』)。
さて、『源氏物語』に戻る。出だしでは、頭中将が源氏に女からの手紙を見せてくれと言う。はじめはこの二人だけがいて、頭中将はぱらぱらと源氏に届いた手紙を読んだ後、自身の女性論を展開する。頭中将によれば、上流階級の女性は大事に育てられたので、欠点も隠されるが、中流では、個性が保たれて育てられているからつきあっておもしろい、とのことである。ちなみに下流には、頭中将は興味がない。
そうこうしているところに、左馬頭と式部丞がたずねてくる。
特別な才能だの魅力的な器量だのは家庭の主婦に無用だ、と左馬頭はいう。役所での出来事など、こちらが話したいことを話したときには、耳を傾けてくれる妻が良い、という。まじめで素直のなのが良い。夫が浮気したときは、気付いていることは示し、無視もせず、執拗に追求したりもしないのが良い、という。左馬頭は、器量が悪く焼き餅焼きの妻がいやで浮気したことがあるが、自分にいろいろと気を使ってくれたのは、風流でおしゃれな浮気の相手ではなく、むしろこの正妻であったという思い出話をする。
ここで頭中将は体験談をひとつ交え、人生のほかのことでもいえることだが、恋愛もまたしかりで、どんな女性も一長一短であり、完璧な恋愛はありえない、といった結論を導く。
ここで頭中将は体験談をひとつ交え、人生のほかのことでもいえることだが、恋愛もまたしかりで、どんな女性も一長一短であり、完璧な恋愛はありえない、といった結論を導く。
式部丞はインテリすぎる女性はいっしょにいると疲れる、といった話をする。
一番若い (と思われる) 光源氏は独自の女性論を語らない。頭中将も光源氏にはふらない。
この巻の後半部では、光源氏が「中の品」にアプローチする話が語られる。
『源氏物語』は、英訳では The Tale of Genji という。英訳したのは、上代日本語や古代中国語に通じ、『老子道徳経』や『西遊記』も英訳したウェイリー (Arthur Waley, 1889-1966) である。
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