saucy
原義は ---
「ソースで味付けした、出汁がきいている、汁だくの」
Since this dish is saucy, it goes very well with rice.
この料理はソースがおいしいので、ごはんとの相性はばっちしです。
接尾辞 -y は、名詞を形容詞にして、
状態・様相などを示している。
その他の語義は sauce と呼応して、
成立したのだろう。
語義の整理の仕方は難しい。
例えば ---
The optional tomatoes make this into a saucy American-style dish.
のような文では、
「おいしい、旨い」
なのか、
「ソースがからんでいる、ソースがきいている」
なのか、判然としないが、
ソースが味の点でも、量の点でも申し分なければ、
「おいしく、風味豊か」
になるのは自明のことだから、
名詞の語義発展とも呼応して、
「おいしい、おしゃれな、粋な」
に発展したのだろう。
呼応はこれだけに留まらず、
「生意気な、でしゃばりな、向こう見ずな」
といった語義が成立した。
日本語でも「出汁がきいている」という慣用句は、
料理だけを指して使われている言葉ではないが、
好意的な印象を表明しているのに対して、
"saucy" は趣が異なり、
必ずしも好意的な印象を表明する形容詞ではない。
People who think themselves smart are quite apt to be saucy.
自分が賢いと思っている人は生意気になりがちである。
The kid was saucy as a cracky.
そのガキはやかましい雑種のワンコロのように小賢しい奴だった。
I am never saucy. My mother said that if I am saucy, men won't give me anything. I must be very quiet.
わたしはおしゃべりではありません。おしゃべりになると、男の人からは何ももらえなくなると、母に言われました。慎み深くなければならない、と。
シェークスピアではだいたい二通りの用例がある。
1. 生意気な、出しゃばりの ( impudent, impertinent )
I heard you were saucy at the gates.
< W. Shakespeare, Twelfth Night, 1:5 (Olivia to Viola) >
門のところでは生意気だったんだってね。
2. みだらな、いやらしい ( lascivious, lecherous )
Their saucy sweetness that do coin heaven's image.
< W. Shakespeare, Measure for Measure, 2:4 (Angelo to Isabella) >
天の似姿を作る二人の猥褻な歓楽。
名詞 (sauce) は、2 の要素を持たないから、
形容詞化した後に出来たものだろうし、
また、名詞の方はより直接料理を連想させるためか、
猥褻な要素を取り入れようとはしなかった。
ある種の語義のくくり方をすれば、
「恥知らずな (shameless)」
で、1 と 2 の両方をまとめられる。
この単語にかぎったことではないが、
人間は言語の使用において、
なるべく一般的なものを使おうとする
心持ちでいる一方、
それとは矛盾して、
なるべく独創性を出そうともするから、
単語やフレーズの意味・語形は、
細かくみていくと、
際限なく変化していくのである。
性質・状態をあらわす名詞は --- sauciness
副詞は --- saucily
saucy
[16th c., sauce & -y (suffix that transforms a noun into an adjective & denotes the state or richness. The sense of "impudent or rudely bold" is from the n. & "lascivious" is extended in imagination of English-speakers, by a way that "impudent" can also be comprehended as "shameless." See sauce.]
Abbreviations
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