古代ギリシャ語原義は「人の声 (言葉) の一連の音程変化 ( tune or a musical arrangement of words; song )」であろう。古代ギリシャ語はピッチアクセントだったので、言葉 (歌詞・詩歌) と歌 (節、旋律) には密接な関係があったとされている。
...the musical notes represent a kind of recitative, or imitation of spoken words, rather than a melody in a proper sense of the term.
< David Binning Monro, The Modes of Ancient Greek Music, 2005 >
この一連の音符は、メロディーという用語自体の本来の意味ではなく、叙唱の一種、あるいは、話し言葉の模倣を示しているのである。
英語の最頻出語義は「旋律 (tune)」であるが、人間の声が醸し出すものばかりではなく、器楽曲における楽器の主旋律のことでもある。「甘い調べ (sweet music)」という意味は、十四世紀、「旋律」にやや遅れてチョーサーの著作 ( The Book of the Duchess )に初出例がある。
語源の前半部であるギリシャ語の melos は謎めいた単語で、手元の希英・英希辞典によれば、
1. limb.であり、研究社の『英語語源辞典』の解説では、印欧祖語 *mel- "limb" (?付き) に由来している。英単語 foot には「詩脚 (a metrical unit of a verse)」の意味があるから、連想上、繋がりがある (日本語の「詩脚」は翻訳借用)。melo- を含む単語には「メロドラマ ( melodrama )」などがある。
2. member.
3. melody
古英語期に歌や音楽がなかったのかといえば、さにあらず、dream の先祖がそれに相当する単語であった。dream には、「歓び、音楽、メロディー」の意味があったのである。
melody
[Middle English, borrowed from French or Latin, borrowed from Greek meloidia "chant, song", from meloidos "musical", from melos "song, music" & oide "ode". Learn more at ode.]
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