マンネリは英語の mannerism から。日本語では「かわりばえのしないやり方、飽き飽きしたもの」といった意味で、うんざりした気持ちを表す。
英単語 mannerism は文学を含む芸術の表現様式が「型にはまり切っていること、やりすぎ、こりすぎ」といった意味である。
美術史上、形式主義 (mannerism)、または、フランス語でマニエリスム (maniérisme) と呼ぶ時代は、バロック期に先立ち、ミケランジェロ (Michelangelo, 1475-1564) やラファエロ (Raphael, 1483-1520) の弟子達や、アニョーロ・ブロンズィーノ (Agnolo Bronzino, 1503 - 72) や、ヤコポ・ダ・ポントルモ (Jacopo da Pontormo, 1494 - 1557) や、タデオ・ズッカーリ (Tadeo Zucccari, 1529-66) らによって、一五二〇年頃のイタリアに発祥し、一五九〇年頃まで続いた。因みに英単語 mannerism が文献に登場するようになったのは十九世紀初頭からである。
mannerism は、すぐに語義が一般化して、行動や表現の仕方が常習的に特異であること、つまり、「癖、特徴、技巧」などを示すようになっていった。癖のある作風や仕草や言い回しは、はじめは珍しくておもしろいかもしれないが、繰り返して接するうちに飽きてしまう。日本語のマンネリはその語感を継承している。