Sunday, December 19, 2010

of

--- WORD DNA --------------------------------------------------------
Old English of (unstressed form), aef preposition & adverb “away, away from” from Germanic *ab(a) (Dutch af “off”; German ab “off, from”; Old Norse af; Gothic af), from Proto Indo-European *apo- “off, away” (Latin ab “away from”; Greek apo; Sanskrit apa “away from”; Avestan apa “away from”; Hittite appa “afterward, again.”)

Germanic Cognates
off Originally the emphatic adverbial use of of. They were the same word & not definitely distinguished until the 17th century. The unstressed of works only as the preposition, while off has got several functions.
after Ultimately from PIE *apotero-, comparative of *apo-.
awkward
offal
ebb Old English noun ebba & verb ebbian.
ablaut 1849, from German (ab “off” & Laut “sound, tone”)

Greek Cognates
apocalypse apokalypsis “something uncovered,” from apo & kalyptein “to cover” -- adj. apocalyptic
apostle apostolos “(one who is) sent away; messenger,” from apostellein (apo “off, away” & stellein “to send”) -- adj. apostolic
apothecary via Latin from Greek apotheke “(place where things are) put away; storehouse” (made with apo “off, away” & tithenai “to put.”)

Latin Cognates
ab- “from, away from”; the prefix is used in many contemporary English words:
aborigine
abdicate
abhor
abject
abjure
ablative
abrade
abrogate
abrupt
abscess
abscission
absent
absolute
absolve
absorb
abstract
abstruse
abscond
avert a (b) - & vertere “to turn.”
------------------------------------------------------- 言葉の遺伝子 ---

 印欧祖語 (*apo-) は away や off に相当する副詞で、離脱・分離、離れること、去ること、薄れることをイメージさせるものである。日本語では、「ゴミ箱にポイする」というときの「ポイ」に一番近いかもしれない。
 古英語期、語尾の f が無声か、有声かは定まっていなかったのだろう。中英語期、of (子音の前では /v/ を発音しないこともある) と off は同一の単語であり、十七世紀まで、発音でも意味でも明確に区別されることがなかった。元々強勢のある副詞として分化した off に対して、強勢のない of は今でももっぱら前置詞の役に徹している。(off は統語上様々な品詞として使用されている。)
 今日、be of (例: The word is of Germanic origin... 「その単語はゲルマン語由来に属する」) と be off (例: I am off today... 「今日は休みです」) ではまったく違う意味 (「有する」と「外れている」) だから、まったく違う単語のようだが、次のような共に前置詞の用法では同一の役割を果たしているといえる。

Take the dishes off the table.
テーブルから ( or の) 皿を取ってくれ。

Take the dishes of the table.
テーブルの (or から) 皿を取ってくれ。

 論理の左脳に対して、イメージの右脳では、of の目的語句はそもそも「源・起点」に相当する単語が配置されていたのかもしれない。論理はデジタルであり、正確無比にコピーすることは得意だが、それでは言葉の変貌は説明できない。人にイメージ的解釈があるからこそ、語義は限定されず、年月の経過と共に、様々な統語が成立するようになり、樹木の枝葉が次々に枝分かれして伸びていくように、多用に発展 (単に「変化」といってもいいが) してきたのであろう。

 一言で言うと、of の目的語句 A は、A の所有格である。ただそれだけで片付けずに論理的に分析してみるのも一興であろう。以下に示すような論理的分類法に従う語義のほとんどは古英語期には既に成立していたものである。
 of の目的語句は、起点・(はずされる) 付属のもの・分離者・行為者 (or おこなうもの)・抽出源・選択範囲・所属・出身地 (主要活動拠点)・理由・動機・原因・由来・起源・発生源 (状況 / 環境)・作者・親・創造者・所有者 (or もつもの)・関係者・原料・材料・性質・状態・条件・属性・分野・内容物・中身・構成物 (心理的・精神的構成要素)・取り扱い品・配慮 (考慮・着眼) されているもの・気がかりなもの (心を乱すもの)・注意すべきもの・心を傾けているもの・尊重 (敬愛) するもの・時間的終点を表す。そのほかに不定冠詞に時間の語句を加えて習慣を示したり、アイデンティティーを表現したりする用法がある。
 では、順に見ていこう。

 [of 起点] = from

half a mile west of town
町の西へ半マイル

within one hundred miles of Shanghai.
上海から百マイル圏内に。
east of the Mississippi.
ミシシッピ川の東側。

 [of (はずされる) 付属のもの (財産・権利など)]

He deprived them of liberty.
彼は彼らから自由を奪った。
(= 彼らを自由から引き離した。)
[of 分離者・行為者]
 古語の中には by と置き換えられるものもある。

He is despised and rejected of men.
彼は人々に忌み嫌われ拒絶された。

He is the son beloved of his father.
彼は父親から愛されている息子である。

The adventures of Huckleberry Finn.
ハックルベリー・フィンの冒険。
[of 抽出源・選択範囲]
 選択範囲から抽出されるのは、「無」から「全」までの間 (none of you / one of you / some of you / most of you / all of you) で、量についても用いる (They received so much of Caesar's money / lots of lemon juice / short of vocabulary / lack of inhibition)。

two of these dogs.
これらの犬のうち二匹。

The Mafia's Boss of Bosses visited Havana.
マフィアの親分中の親分がハバナを訪れた。

Of the original one thousand cards he printed, only twelve exist today.
彼が印刷したオリジナルの千枚のカードのうち、現存するのはわずか十二枚である。

one-third of 1 percent of all water on Earth.
地球上の全水量の一パーセントの三分の一。

It turns more than 20% of its revenue into profit,
売上の二十パーセント以上を利益にしている。

1st of December.
十二月の一日目 (十二月一日)

in every area of life.
人生のどの領域でも。

all the land of Egypt.
エジプトの全土。

all of my love.
ありったけの真心をこめて。
この用法には明示・特定の役割もある。
 [部位・部分 of 選択箇所 (範囲)]

the end of the fifth century.
五世紀末。

the bottom of the seventh.
七回裏。

in the middle of her forehead.
彼女の額の真ん中に。

a long-buried side of early Christianity.
初期キリスト教の永らく葬り去られていた一面。

the kitchen and bedroom of the house.
家の (中の) 台所と寝室。

710 to 784, Nara was the capital of Japan.
710 - 784 奈良は日本の都であった。
[of 所属] 

prime minister of Japan.
日本の首相。
[of 出身地]

Erasmus of Rotterdam.
ロッテルダムのエラスムス。

 [of 理由・動機・原因]
 時に because を伴う。

He has died of brain cancer.
彼は脳腫瘍で亡くなった。

They might boycott the opening ceremony of the Beijing summer Olympics in August because of the Tibet crackdown.
彼らはチベット弾圧を理由に、八月に開催される北京の夏のオリンピックの開幕セレモニーをボイコットするかもしれない。
[of 由来・起源・発生源 (状況 / 環境)]

The word "cut" mimics the sound of cutting.
単語 cut は切るときの音を真似ているものである。

the cost of solar energy.
太陽エネルギーのコスト。

the silence of night.
夜の静寂。

the seven years of famine.
七年続いた飢饉。
[of 作者・親・創造者]

the Gospel of Judas.
ユダの福音書。

Pocahontas, the daughter of a native chief.
先住民の酋長の娘、ポカホンタス。

the dream of the pharaoh.
ファラオの夢。

 [of 所有者 (or もつもの)・関係者]
 便宜上、所有者としたが、名前などを持つもの。

the house of my father.
父の家。

an opinion of your own.
あなた自信の意見。

He was a friend of mine.
彼は私の友人でした。

that cousin of my mother's.
その母のいとこ。

What was the name of the place where he stayed?
彼が滞在した土地の名前は何ですか。

the name of the rose.
薔薇の名前。
[of 原料・材料]

the castle of sand.
砂の城。

a circular roof built of burned brick.
焼き煉瓦でできた丸い屋根。

 [of 性質・状態・条件 (特定範囲)・属性]

girl of 17.
十七の少女。

at a speed of about 1,000 mph
時速約千マイルの速度で。

Tiger Woods is the most unfaithful guy of the year.
タイガー・ウッズは今年一番の浮気男である。

the year of his birth.
彼の誕生の年。

Pascal was a mathematician of the first order.
パスカルは一流の数学者であった。

the value of which they learned.
彼らが学んだことの価値。
[of 分野]

the most beloved one of letters.
最も愛されている文人。
[of 内容物・中身・構成物 (精神的・心理的構成要素)]

fifty barrels of potatoes.
五十樽のジャガイモ。

a store that sold a variety of candies and nuts.
様々な飴玉とナッツを売っていた店。

different kinds of golf balls.
いろいろなゴルフボール。

the case of plagiarism.
剽窃の件。

The new year is the most important holiday in Japan, and is a symbol of renewal.
新年は日本で最も重要な祝日であり、再出発の象徴である。

the Grapes of Wrath.
怒りの葡萄。
[of 取り扱い品・配慮 (考慮・着眼) されているもの]

investigating the theft and sale of army weapons.
軍の兵器の横流しを調査している。

Astronomers have had pictures of colliding galaxies.
天文学者は衝突する銀河の写真を撮っていた。

the weight of the metal.
金属の重量。

the length of the thumb.
親指の長さ。

a history of English language.
英語の歴史。

a portrait of the artist.
芸術家の (を描いた) 肖像。

Goethe's Description of a Sunday in Germany.
ドイツの日曜日を描いたゲーテの記述。

Time flies; make use of it.
時は飛び去る。大事にせよ。

He was keen of wit.
彼は機知が鋭い。

I am thinking of you.
あなたのことを思っています。

Let’s take care of our hamster.
ハムスターの世話をしよう。

I don't feel certain of it.
それには確信がない。

Europe's wind power companies are still ahead of their Asian competitors.
ヨーロッパの風力発電会社はアジアの競合各社よりいまもなお優位な立場にある。

the sparing of expense.
出費の抑制。

They were sparing of expense.
彼らは出費を抑えていた。

Nothing deserving of death has been done by Him.
彼による死刑に値する行いは何もなかった。

her insatiable love of money.
彼女のあくことのない金への愛。
[of 気がかりなもの (心を乱すもの)・注意すべきもの]

What are you afraid of?
あなたは何を怖れているのか。

I disapprove of what you say.
あなたの言うことは承伏できない。

Beware of imitations!
偽物には用心せよ。

Jealous of the applause they gave him.
彼が受けた拍手喝采に嫉妬している。
[of 心を傾けているもの・尊重 (敬愛) するもの]

Very good of you to come!
お越しいただいて本当によかった。
[of 時間的終点] = until
 米語

nearly quarter of three.
三時まで約十五分。
[of 不定冠詞 + 時間]
 習慣を示す。

He went out of an evening.
彼は夜になるとよく外出したものだ。
文型 A of B があるとき、A と B が同一のものを指して、アイデンティティの示すこともある。

a fool of a man.
人間という愚か者。

in the village of Dujail.
ドゥジャイルという村で。

in the city of Bariloche, Argentina,
アルゼンチンのバリローチェという都市で。

the Indonesian island of Sumatra.
インドネシアのスマトラ島。
 苦心しながら分類を試みたが、分類は複合的にも、あるいは、別のやり方でも可能であろう。たとえば、a loveliness of the evening というフレーズがあるとき、「その夕暮れ (晩)」は「美しさ」の発生源 (原因) であり、夕暮れという状況の一側面として美しさがあるともとれる一方、逆から見て、「美しさ」の中身が「夕暮れ」ともとれる。つまり、論理ではどうしてもカテゴライズしなければならなくなるから、それが本質とは断言できない。
 論理的解釈の弱点は、今日どう使われているのかは把握できても、今後どう発展していくのかを明らかに出来ないというところにある。
 言葉の右脳的解釈はあると思う。というのも、現在、数億人いる英語のネイティブとサブネイティブの話者は、いまこうしている間も、of を絡めた新たな統語法を編み出しているはずだからである (逆に忘れ去られていく用法もあるだろう)。英語に限らず、すべての言語において、言葉は、論理的 (左脳的) 解釈で分析するかぎりにおいては、変化していくものである。しかし、論理はデジタルであるから、本来、変化するはずがない。
 右脳的解釈はファジーだが、変化を許すものなのであろう。但し、右脳のデータは言語で簡潔に表現できるようなものではないのだろう。
 人が知っている文法は当然、文法家が規定した文法とは異なるものである。文法のテストで零点の人も言葉をぺらぺら話すことができる。

 of course は一五四〇年代に出現して「いつもどおり = 当たり前、当然、勿論」の意味である。当初は「道によりて」ぐらいの語感だったのかもしれない。

 語感は変わるのかもしれないが、文意だけを考慮するなら、前置詞は互いに交換可能なものもある。

think of you = think about you

of linguistics = on linguistics

the works of Mark Twain = the works by Mark Twain

manners of the two people = manners between the two people

a candidate of the election = a candidate for the election

east of Eden = east from Eden

detected the virus of the system = detected the virus in the system

the expression of mirth = the expression with mirth


ab ovo usque ad mala

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