Tuesday, March 27, 2018

black

black

名詞では「くろ、ブラック」
形容詞では「くろい、くらい」
古英語 blæc, blac から。
古英語期の長母音語 blác
「輝く、白い、蒼白い」
両語には「色が欠けている」の
共通語義があり、
「おそらく血縁だろう」
とウィークリーは言っている。
(Weekley’s Etymological Dictionary)
現代の比較言語学では
両語は同源と説く。

中英語期、つまり、英語に
フランス語がなだれ込んできた時代、
「黒」担当が black になり、
「蒼白い」担当が blake / bloke になったが、
後者はフランスから来た pale におされて
次第に消えていった。
もっともこの時代は、綴り方も
統一されていなかったし、
方言も多かったから、
blake が黒を指すのか、白を指すのか、
OEDの編集者にさえ判読できない
用例がのこっている。

black は「黒、黒い、暗い」を基本義にして、
様々な具体義を獲得した。例えば、
アフリカやオーストラリアなどの
黒い肌の色の原住民や、
その子孫たちを指したり、
(例: black music / black rights / black English / Blacks in the White Elite)

土などがこびりついて
容易に落とせない汚れを指したり、
(I'd rather have black hands and plenty of meat
than never such white ones and nothing to eat.)


黒髪や黒髪の人、または、
肌が浅黒い人のことを指したり、
(The fair, the black, the learned,
and the unlearned do all pass away.)

水が深いことや雲が厚いことを形容したり、
(blackest cloud)

死をもたらすようなものにつけたり、
(Black Death)

人の気持ちを暗くさせたり、
傷つけたりするものを指す。

例えば、悪気がなく人を喜ばす嘘は
white lie
反対に、悪意のある騙す嘘は
black lie

他者を楽しませたり、人の役に立つ魔法は
white arts / white magic
反対に他者を傷つける魔法は
black arts / black magic

ゆすりたかり、脅迫は
blackmail

嫌味や風刺を含んでいたり、一部の人々の
気持ちを逆撫でる馬鹿話は
black joke

他にも、人はネガティブなものに
黒を使う傾向がある。

好ましくない人々の名簿は
blacklist

好ましくない人、集団の中の厄介者は
black sheep

違法な取引をするところや闇経済は
black market / black economy

不吉なことが起こりそうな金曜日は、
Black Friday

相場が暴落した月曜日は
Black Monday

日本では人は真っ赤になって怒るが、
英語圏では黒くなって怒る。
(She looked black.)

単に色を指すこともある。たとえば、
コーヒー・紅茶に牛乳やクリームが
入っていないこと。
(In the Middle East the traditional way of
drinking coffee is black with sugar but no milk.)

比較言語学者は
blackblake / bloke
共通基語として、印欧祖語
*bhel-
を再建している。
この祖語は「きらめく、かがやく、
もえる、ひかる、輝く白、光沢ある色」
などを意味すると想定されている。
この祖語に基づく「黒」は、
ほかの印欧諸語には見当たらない。
ゲルマン語族は swart 「黒い」と
同系のことばで「黒」を表す。
ほかの語族も別語源である。

ギリシャ語 μαύρος (mavros)
ケルトのアイルランド語 dubh
インドのヒンズー語 kaalee
スラブのロシア語 chernyy
バルトのリトアニア語 juoda
アルメニア語 sev

「黒」を指すロマンス諸語は
ラテン語 niger の子孫語。
この単語は「夜」を指す印欧祖語
*nokwtz
からと考えられている。
英語の night
この祖語から出来ている。

*bhel- が「黒」になったのは
英語だけかもしれない。

*bhel- はロシア語 belyi 「白」の語源。
この言葉は英単語
beluga
の構成要素になっている。キャビアを孕む
「シロチョウザメ」のこと。

*bhel- はラテン語 flavus 「きいろ」の
語源で、学術用語
flavonoid
に使用されている。
更に、ラテン語 flamma 「炎、火」も
この祖語からできたとされ、
flame
flammable
flamingo
などの語源とされる。
ラテン語 fulgere 「輝く」からは、
effulgent
ができている。
(ラテン語 f = ゲルマン諸語 b)

*bhel- はまた「青」、つまり、
blue
の語源でもある。ゲルマン祖語から
古仏語を通じて英語化した。

*bhel- はまたゲルマン祖語
*blaso
「松明、炎」から、
blush
「顔が嬉しさで輝く」や
blaze
「燃え立つ、輝く」を生み出した。

black は一見鮮やかさや
光り輝くことと無関係と
思われるが、その直接の祖語は
*bhleg-
「燃える」のO階梯形
*bhlog-
「燃やした = 黒くした = 色を消した」
である。従って、black
bleach
「漂白、脱色、ブリーチ (する)」
と同源である。

他にも、黒と白、光と闇が
同じだったという証拠はある。

blank 「空白」/ blanket「毛布」
フランス語の blanc 「白」から。
印欧祖語→ゲルマン祖語→フランス語→英語
ブランケットの原義は「着色していないウール」


blond「金髪の」
ゲルマン祖語→俗ラテン語→仏語→英語


blind 「目が見えない」
ゲルマン祖語 *blinda-
原義は「くもっている」


blink 「まばたき、光が明滅する」
原義は「目覚めて目をあける」


blend 「まぜる」
ゲルマン祖語 *blandan
原義は「くもらせる、まぜて濁す」


blanch 「青ざめさせる、白くする」
blank と近縁。

複雑な語義の変遷を辿った言葉に
blench
「ぎくりとする、たじろぐ」
がある。古英語 blencan 「だます」から。
血縁は blink に最も近い。


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black
PIE *bhel- “to shine, flash, burn; shining white; bright color.”

PIE extended form *bhleg- “to shine, flash, burn.”

O-grade form *bhlog- “burnt; which has become black; which has become colorless.”

Proto Germanic “blakaz

Old English blæc, blac. (blæcan, v. bleach “to erase colors; to whiten,”) blác (long vowel) meant “pale, wan, colorless.” 

Black is the color of the spot, which reflects no rays of light. Darkness. The font color which the HTML code (font color=#000000)(/font) shows on the web page. Or a similar dark color. Something or someone dark-colored.  


Black sometimes implies “bad state or nature; dirtiness; maliciousness; illegality; threaten; death, etc.). Now, black has lost the senses  of “pale, wan ,colorless.”

Black, used as a verb, means “to make something black“; especially, “to put polish on black shoes or boots.”


Black is cognate with some bl- (b-l / fl- ) words, such as bleach, blank, beluga, blue, flavonoid, flamingo
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related leaves

black and blue
black-eyed Susan
Black Friday
blackguard
black hat
black-letter day
Black Russian
in the black

blues

white 
whiten

モンブラン


Thursday, March 22, 2018

black hat

black hat

「黒い帽子」とは、米国の口語で
映画などのフィクションに出てくる
「悪役」のこと。
この語義は一九六〇年代に出現。
なぜ帽子なのかはわからない。

一九九〇年代になると、
他者のコンピュータに不正アクセスしたり、
ウィルスを作って拡散させる人のことを
黒い帽子と呼ぶようになる。

対して、セキュリティーホールを見つけて
報告するような善意のハッカーは
白い帽子 (white hat) と称する。


black hat
Origin unknown.
1961, US colloquial “villain of a fiction story.”
1993, computing slang “nefarious hacker.” Antonym: white hat.

black


Tuesday, March 20, 2018

blackguard

blackguard


十六世紀に出現した熟語。
当初は二語であった。
(black guard)
現代では一語になって、
-ck- の音は消失した。


十六世紀から用例があり、
当初は台所の器具を扱う
一番下の召使いや、
兵士の従者や、
家のない人々を
black guard
と称していた。


語源ははっきりわからない。
ウェストミンスターの警備兵団は
Black Guard
であったとか、
葬列の従者たちだったとか、
松明をもって夜道を導く
少年たちだったとか、
諸説ある。


この単語はかつては一団を指したり、
一人を指したりしたが、今は一人を指す。


この black はやがて、
「わるい」や「不良の」になり、
十八世紀になると、
blackguard
は 「ちんぴら、ならず者」
といった意味になっていった。


この単語の black
blackmailblack market
black に似ている。


現代英語の名詞には
この意味だけが残っている。


blackguard には
「嗅ぎ煙草の一種」
という一味違う語義もあった。
のちにダブリンで
煙草商になるフットは
こどもの頃、丁稚奉公していた煙草屋で
嗅ぎ煙草の調合を間違えてしまい、
そのせいで、主人からは
「アイルランドのろくでなし」
と渾名された。大人になって
自分で商売するようになると、
かつて失敗したやり方で
嗅ぎ煙草を調合してみたところ、
これが嗅ぎ煙草愛好家に好評で、
フットは裕福になった。
彼が ”考案した” この嗅ぎ煙草は
「ろくでなし」
(blackguard)
あるいは、
「アイルランドのろくでなし」
(Irish blackguard)
と呼ばれた。


blackguard
には形容詞と動詞の用法もある。



blackguard
Origin uncertain.


16th c., “lowest menials who have charge of kitchen utensils; servants in an army; children or men who belong to the lowest class of the society” (guard = group of people). Also, a “man or boy who serves a soldier; one who blacks boots for their customers on the street; vagabond” (guard = person)


18th c., “bad boy, rascal, rogue, villain.” Only survived sense as a noun.

18th c., “kind of snuff; Lundyfoot.” This snuff was also called the Irish blackguard. From the name of a tobacco shop master in Dublin, Lundy Foot (1735-1805). When he was a young shop boy, making a mistake of preparation of some snuff, his master called him “Irish blackguard.” But his mistake became a new preparation for snuff & brought him a fortune.


black

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