Wednesday, November 06, 2013

coca

コカ (coca) は、南米のコカノキの葉や若い枝を乾燥させたもので、ライムと混ぜていっしょに噛んだり、あるいは、お湯に浸して抽出し、お茶として飲んだりする。コカに含まれるコカインは神経の興奮作用、麻酔作用、空腹の緩和、疲労の回復などの効能がある一方で、依存症も引き起こす。

 コカはアイマラ語 kuka か、もしくは、ケチュア語 koka に由来し、スペイン語を介して英語に入った。

 コカは、インカ帝国の版図よりも広い範囲での栽培と使用が認められるから、インカ文明よりも古いものであると推理できる。中米を含む広い範囲でコカは使用されていた。我々日本人にとっての酒や、北米の人々のたばこと同様に、コカは中南米先住民の親睦や懇談、宗教儀式と関係がある。

 インカの宗教祭儀にも使用されていたから、スペイン人が建てたペルー政府は十六世紀にコカの使用を禁止した。しかし、禁制品は高く売れるから、栽培がかえってさかんになり、活発に取引されるようになった。スペイン人入植者は鉱山や農場で労役させるために先住民にコカを与えていた。入植者の中でもコカの農場主は高額納税者となり、政治的影響力を強めていった。

 ペルーとボリビアでは今でも栽培と伝統的使用は合法である。政府は外圧に従い減反を進めているが、コカ栽培農家 (Spanish cocaleros ) は協会 (association) を設けて対抗している。「コカ栽培をやめると、文化の独自性は失われる」と協会側は危機感を煽っている。コカがほかの作物よりもお金になることは言うまでもない。

 エクアドルでのコカ栽培は一九九一年までで、それ以降は皆無となっている。

 二〇〇〇年時点での作付面積は、ペルーが40,200ha、ボリビアが22,253ha、コロンビアが183,571haであった (Andean Trade Preference Act: Impact on U.S, Industries and Comsummers and on Drug Crop Eradication and Crop Substitution. 13th Report 2007 --- by US International Trade Commission)

一番多く栽培しているコロンビアでは、コカインへの精製も盛んに行われているという。コカインの主要消費地は米国なので、米政府は南米各国政府の対応にいら立ちを募らせている。

 コカコーラコカは、コカインコカに由来している。


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