Monday, October 15, 2012

経営

経営の古い用例は『詩経』や『書経』に見出せる。『詩経』には、中国史上第三の王朝・周の文王による「霊台」と題された詩がある。詩中では、土地の測量・整備から建造物を建てていく工程を経営といっている。

 漢代の司馬相如 (179 BC - 117 BC) による「上林の賦」は天子の広壮な御苑の中を幾筋かの川がうねりくねりながら流れる様子を経営と表現している。音読みでケイエイ、現代北京語のピンインで jīngyíng であるが、古代にあってはオノマトペであったのだという。上記の例からすると、日本語ではうねうね、または、くねくねに近いかもしれない。オノマトペは多用されるから、意味は多くなる。しかし、何本かの仕事が各部署で紆余曲折しながら同時進行しているさまは、何本もの川がくねりながら流れているさまと似ていて、現代の日中両語の経営の語感に奇妙な形で重なっているといえる。現代語の意味は西洋から来たもので、「指導的立場で会社・店などを運営すること、マネージメント」である。

 仏教では「人生を営むこと」を経営という。かつて寺山修司 (1935-83) は「私の職業は寺山修司です」といったそうだが、仏教用語を用いると「寺山修司は寺山修司を経営していた」といえるのである。

 日本で、「人を育てる」ことは経営の一環であった例がある。現在のパナソニックの創業者松下幸之助 (1894-1989) は「我が社は人をつくります。それからモノをつくります」を信条としていた。トヨタ自動車は「モノづくりの前に、人づくり」がモットーであった。

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