Monday, January 30, 2012

天上天下唯我独尊

元前六世紀頃の天竺に、釈迦族の王浄飯王 (じょぼんのう・シュドーダナ / 梵語 Śuddhodana) とその妃摩耶 (梵語 Māyā) がいた。

 ある晩、王妃摩耶は夢を見た。悪魔が姿を消して、光を放つ六本の牙の白い象が現れ、摩耶の右脇腹から体内に入った。目覚めてこの夢のことを夫である王に話すと、王は
 婆羅門 (バラモン / 梵語 braahmana) を呼んで占わせた。婆羅門は太子の懐妊を予言した。釈迦 (梵語 Śākya) の入胎である。白い象には前世の釈迦が乗っていたのだ。前世の者が新しい人生を始めるために胎児になって次の世界の母体に移ることを入胎という。

 摩耶は出産のために里帰りすることになり、帰路の途中で出産した。国中が穏やかで、花があちこちに咲き乱れていた。無憂樹 (むうじゅ) の花が咲き誇る藍毘尼園 (ランビニおん / 梵語 Lunbini) で一休みして、沐浴したあとに、花を一輪とろうと腕を伸ばしたとき、右脇腹から釈迦が生まれてきた。生まれたばかりの釈迦は、四方に七歩ずつ歩いたあと、右手のひとさし指を天に、左手のひとさし指を地面に指して、「天上天下唯我独尊」と宣言した。


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